2021年1月に初めて実施される「大学入学共通テスト」を巡り、文部科学省は大きな決断を下そうとしています。導入が予定されていた国語と数学の記述式問題について、来週前半にも導入見送りを表明する方針を固めました。これにより、出題方式は従来の大学入試センター試験と同じ、選択肢から選ぶマークシート方式のみに絞られることになります。
SNS上では「受験生の努力はどうなるのか」「直前の変更は勘弁してほしい」といった不安の声が相次いでいます。そもそも記述式問題とは、用意された正解を選ぶのではなく、自分の言葉や数式を書き記す形式のことです。国語では80字から120字程度の文章を綴り、数学では数式を導き出す過程を書かせることで、受験生の「思考力」や「表現力」を直接的に評価する狙いがありました。
しかし、約50万人という膨大な受験生の解答を、わずか20日間で公平に採点することには大きな壁が立ちはだかりました。およそ1万人にものぼる採点者によって結果にバラつきが出るリスクや、自己採点と実際の結果が一致しないという懸念が払拭できなかったのです。受験生にとって、出願先を決める大切な基準が揺らぐことは、決して許されない問題だと言えるでしょう。
英語4技能に続く見送りで「表現力」への評価はどう変わる?
今回の決定に先立ち、2019年11月には英語の民間試験活用も見送られたばかりです。英語において「読む・聞く・書く・話す」の4技能を多角的に測るという目標が、実施環境の格差を理由に事実上、先送りとなりました。記述式と民間試験という、共通テストの「二大目玉」が失われることで、現行のセンター試験との違いが薄れてしまうことは避けられそうにありません。
編集者の視点から言えば、日本の教育改革が今、大きな岐路に立たされていると感じます。知識の暗記に偏らない「真の学力」を測りたいという理念は素晴らしいものですが、公平性が命である入試制度において、あまりにも見通しが甘かったと言わざるを得ません。現場の混乱を最小限に抑えつつ、受験生の努力を正当に評価する仕組み作りを改めて強く求めたいところです。
とはいえ、共通テストの意義が完全に消えたわけではありません。記述式はなくなりますが、複数の資料を読み取って思考する問題の比率は増える見込みです。特に英語では、発音や並び替えといった知識問題が姿を消し、文章を深く読み解く「リーディング」と「リスニング」の配点が均等になります。より実戦的な「読解力」が合否を分ける鍵となることは間違いないでしょう。
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