中四国エリアを拠点に展開するマックスバリュ西日本が、2019年12月14日、驚きの経営判断を下しました。同社は2019年3月に営業時間を短縮したばかりでしたが、方針を180度転換し、再び営業時間の延長に踏み切ります。この決定の背景には、時短によって夜間の固定客が離れ、客数が前年比で10%も激減したという深刻な誤算がありました。
SNS上では「仕事帰りに寄れなくなって不便だったから嬉しい」という歓迎の声がある一方で、「現場のスタッフさんは大丈夫なの?」と従業員の負担を心配する投稿も散見されます。同社は2020年1月31日までに、ほぼ全ての店舗で営業時間を前後1時間以上延ばす計画です。特に主力ブランドのマックスバリュでは、午前8時から午後11時までの営業を基本スタイルとして定着させる方針です。
「総菜の品切れ」という致命的なミスと戦略の歪み
今回の苦戦の要因は、時短による「守りの姿勢」が裏目に出たことにあります。閉店時間を早めたことで、現場の従業員が売れ残りを恐れるあまり、夜間の揚げ物などの総菜を十分に用意しなくなりました。これが「欲しいものがない」という顧客の不満に直結し、夕方以降の客数減少を加速させたのです。また、開店が午前9時になったことで、出勤前に立ち寄る会社員層も取りこぼしてしまいました。
こうした状況を打開するため、同社は「廃棄を恐れない覚悟」で総菜の山盛り陳列を徹底します。共働き世帯が増加する現代において、すぐに食べられる総菜はスーパーの成長を左右する「戦略的カテゴリー」と言えます。専門的な用語で言えば、利便性を追求する「中食(なもしょく)」ニーズをいかに取り込めるかが、再建の鍵を握っているといえるでしょう。
ドン・キホーテ流の「圧縮陳列」でワクワク感を演出
さらに注目すべきは、あの「ドン・キホーテ」を彷彿とさせる大胆な売り場作りです。特定の目玉商品を通路脇などに山積みにし、圧倒的な安さと存在感をアピールする手法を導入します。これは、顧客が店内を歩き回りながら宝探しのような感覚を味わえる、いわゆる「ワクワク感」を創出する狙いがあります。1人あたりの買い上げ点数を増やすという明確な目標を、全社一丸となって追求する姿勢です。
正直なところ、わずか数ヶ月での方針転換は現場に少なからず混乱を招くはずです。しかし、スーパーマーケット業界は今、コンビニやドラッグストアとの熾烈なシェア争いに加え、ネット通販の台頭という荒波に揉まれています。2019年2月期の営業利益が2年前の半分以下に落ち込んでいる現状では、なりふり構わず変化を厭わないスピード感こそが、生き残りのための唯一の道なのかもしれません。
2021年3月1日にはマルナカなどとの経営統合も控えており、仕入れの効率化や生鮮品の強化といった構造改革も進む予定です。一度離れてしまったお客様に「変わったな」と実感してもらうためには、チラシの宣伝力だけでなく、店内の活気そのものを取り戻す必要があります。現場の底力が試される、マックスバリュ西日本の再挑戦から目が離せません。
コメント