長野県茅野市が誇る幻想的なスポット「御射鹿池(みしゃかいけ)」を舞台にした旅が、大きな栄誉に輝きました。国土交通省が主催する「第10回 “水のめぐみ”とふれあう水の里の旅コンテスト2019」において、一般社団法人ちの観光まちづくり推進機構が手がけたバスツアーが、見事「最優秀賞」と特別賞の「絶景賞」をダブル受賞したのです。
このコンテストは、水資源の重要性やその土地ならではの文化を体験できる優れた旅の企画を顕彰するもので、2019年で節目となる10回目を迎えました。八ヶ岳の豊かな自然と、そこに暮らす人々の営みが調和したツアー内容は、審査員からも極めて高い評価を得ています。表彰式は2019年12月10日に開催される予定となっており、地域の期待も最高潮に達しているでしょう。
単なる観光地ではない「命を育む池」の魅力を再発見
御射鹿池といえば、日本画の巨匠・東山魁夷画伯が名作『緑響く』のモチーフにした場所としてあまりに有名です。鏡のような水面に周囲の緑が溶け込む美しさは、SNSでも「まるでおとぎ話の世界」「一生に一度は見たい青の絶景」と大きな反響を呼び、連日多くの観光客を魅了し続けています。
しかし、この池の真の価値は、その見た目の美しさだけにとどまりません。実は、江戸時代から続く農業用のため池であり、冷たい山の水を太陽光で温めてから下流域の水田へ送り出すという、大切な役割を担ってきたのです。このように、生活に不可欠な資源を管理・活用する組織を「観光地経営組織(DMO)」と呼び、今回の受賞は、その組織が地域住民と深く連携した点がポイントとなりました。
2019年6月から9月にかけて実施されたこの日帰りツアーでは、ガイドが水源としての機能や、里山で受け継がれてきた暮らしの知恵を丁寧に解説しました。美しい景色をただ眺めるだけでなく、背後にある歴史や人々の苦労を知ることで、旅の深みは格段に増すはずです。編集部としても、こうした「学び」と「癒やし」が融合した観光のあり方こそ、これからの地方創生における理想形であると考えます。
単なるフォトスポット巡りで終わらせず、その土地の「物語」に触れる今回の企画は、まさに最優秀賞にふさわしい内容といえるでしょう。2019年の冬を前に、茅野市の温かなコミュニティが生み出したこの快挙は、全国の観光関係者にとっても大きな刺激となるに違いありません。
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