広大な海の世界を自由に駆け巡るペンギンたちの動きは、実は驚くべき効率性と機動力に満ちています。東京工業大学の田中博人准教授らの研究チームは、このペンギンの見事な泳法に着目し、新たな翼型の推進装置を開発することに成功しました。2019年12月17日に発表されたこの技術は、従来のスクリュー型とは一線を画す画期的な発明として注目を集めています。
これまでの水中ロボットの多くは、扇風機の羽根のようなプロペラを回転させて進むスクリュー式が一般的でした。しかし、今回発表された装置は、ペンギンが翼を上下に羽ばたかせて水をかく動きを忠実に再現しています。SNS上では「ついにペンギンの動きがメカに!」といった驚きの声や、「スクリューよりも安全そう」という期待が寄せられており、バイオミミクリーへの関心の高さが伺えるでしょう。
バイオミミクリーとは、生物の持つ優れた形状や機能を工学的に模倣し、技術開発に活かす手法のことです。今回の装置は、この手法によってスクリュー方式が苦手としていた、素早い加速や急な方向転換を可能にしました。また、回転する羽根を持たないため、周囲の海藻を巻き込んだり、海洋生物を傷つけたりするリスクが格段に低いという、環境への優しさも大きな魅力の一つと言えます。
港湾点検の救世主へ!2020年度にはペンギン型ドローンが登場予定
この新技術が実用化されれば、港湾設備の点検作業や海洋調査の精度が飛躍的に向上するはずです。入り組んだ構造物が多い港の点検では、小回りの利く機動性が不可欠であり、ペンギンのような自在な動きは大きな武器となります。研究チームは今後、ペンギンの泳ぎをさらに細かく分析し、翼の制御システムをより洗練されたものへと改良していく計画を立てています。
さらに、2020年度中にはこの装置を搭載した「ペンギン型水中ドローン」の製作も予定されており、実際の水中での動作検証が行われる見込みです。私個人としても、無機質な機械ではなく、生物の美しさを宿したロボットが海を守る姿には非常にロマンを感じます。テクノロジーが自然を模倣し、共生していくこの流れは、これからの海洋開発におけるスタンダードになっていくに違いありません。
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