2019年12月07日、雪が舞う北欧の地ストックホルムにて、リチウムイオン電池の生みの親である吉野彰氏が、授賞式を前にその熱い胸中を語ってくださいました。旭化成名誉フェローとして世界を変えた科学者は、ノーベル賞という最高の栄誉を手にしてもなお、その視線はすでに「次なる未来」へと注がれています。
インタビューの中で特に印象的だったのは、授与される賞金の一部を「若手研究者の支援」に充てるという素晴らしい構想です。企業人として研究を続けてきた吉野氏だからこそ、目先の利益に縛られない基礎研究の重要性を誰よりも深く理解されています。分野を問わずに自由なアイデアを募るこの試みは、停滞する科学界に一石を投じることになるでしょう。
SNS上では、この発表を受けて「吉野先生の器が大きすぎる」「日本の科学技術の未来が少し明るくなった気がする」といった感動の声が相次いでいます。研究費の確保に苦しむ若手世代にとって、世界的な先駆者からのサポートは、金銭的な価値以上の大きな励みになるに違いありません。
ここで少し専門用語を解説しましょう。「リチウムイオン電池」とは、軽量で大容量の電力を蓄えられる二次電池(充電して繰り返し使える電池)のことです。スマホから電気自動車まで、私たちの生活に革命をもたらしましたが、吉野氏はこれを「環境問題を解決するための鍵」として位置づけています。
地球の危機を救うモバイル・エネルギーの力
2019年12月08日に行われる受賞講演で、吉野氏はリチウムイオン電池が持続可能な社会の実現にどれほど貢献できるかを世界に訴える予定です。化石燃料に頼らない「クリーンなエネルギー社会」の構築には、電気を効率よく蓄える技術が不可欠であり、氏の発明はその根幹を支えるインフラと言えます。
共同受賞者であるウィッティンガム教授と固く握手を交わす姿からは、国境を越えた科学の絆が感じられました。約1億円にのぼる賞金は3人で分けられますが、その使い道として若手への投資を真っ先に選ぶ姿勢こそが、吉野氏が「科学の父」として愛される所以なのでしょう。
編集者としての私見ですが、今回の吉野氏の提案は、日本の研究開発のあり方を根底から見直す契機になるべきだと考えます。現在の日本では短期的な成果が求められがちですが、本来のイノベーションは「何に役立つかまだ分からない」という純粋な好奇心と、それを許容する支援体制から生まれるものだからです。
若手研究者が失敗を恐れずに挑戦できる環境が整えば、第2、第3の吉野彰氏が現れる日はそう遠くないはずです。ストックホルムの冷涼な空気の中で、新しい時代のエネルギーが今まさに力強く動き出そうとしています。リチウムイオン電池が灯した光が、若き才能たちの道を照らすことを願って止みません。
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