2019年12月19日、政府は日本の未来を左右する社会保障制度改革の中間報告を公表しました。今回の改革の目玉は、現在原則1割となっている75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を、一定以上の所得がある人を対象に「2割」へと引き上げることです。団塊の世代が75歳を迎え始める2022年度までの導入を目指しており、これまでの「年齢」で区切る支援から、個人の「負担能力」に応じた支え合いへの大きな転換点となりそうです。
SNSでは「現役世代の負担軽減に繋がるなら賛成」という声がある一方で、「老後の生活設計が狂う」といった不安も広がっています。日本の社会保障は、現役世代が納める保険料で高齢者を支える「仕送り型」という構造です。しかし、少子高齢化によってこのバランスは崩れつつあります。2017年度に約120兆円だった給付費は、2025年度には約140兆円に達すると予測されており、制度の持続可能性を保つためには、痛みを伴う改革を避けられないのが実情でしょう。
大病院の受診ルール変更と「働く高齢者」への支援
医療体制をより効率的にするため、紹介状なしで大病院を受診する際の負担も増える見通しです。現在は400床以上の病院が対象ですが、今後は200床以上の中堅病院まで拡大されます。初診時に支払う定額負担をさらに1000円から3000円程度上乗せすることで、「風邪などの軽症は地域のクリニック(かかりつけ医)」へ、「重症は大病院」へという役割分担を徹底させようとしています。専門的な医療が必要な人にリソースを集中させる賢明な判断と言えます。
また、今回の改革は「70歳まで元気に働く社会」の構築も重視しています。企業に対し、希望する社員に70歳までの就業機会を確保するよう努力義務を課す方針です。これに合わせて年金の受給開始年齢も、本人の希望があれば75歳まで遅らせることが可能になります。75歳から受給を始めれば、月々の受取額は最大で84%も増額される仕組みです。「長く働いて、しっかりもらう」という、多様なライフスタイルの選択肢が広がるでしょう。
編集部の視点:未来への処方箋としてはまだ「不十分」か
編集部としては、今回の改革は一歩前進であるものの、課題は山積みだと感じています。例えば、医療費よりも伸び率が高い「介護」分野の改革については、担い手不足などの深刻な問題があるにもかかわらず、今回はほとんど議論が進んでいません。また、花粉症の薬や湿布といった市販品で代替可能な「軽症者向け医薬品」を保険対象から外す議論も先送りされました。真に持続可能な制度を築くには、さらなる踏み込みが必要ではないでしょうか。
政府は2020年6月に最終報告をまとめる予定です。誰もが安心して暮らせる社会を作るためには、単なる負担増の押し付けではなく、無駄を徹底的に省き、公平性を担保する納得感のある議論を期待したいところです。今後、具体的な所得制限の線引きがどう決まるのか、私たちの生活に直結する動向から目が離せません。すべての世代が自分事としてこのニュースを捉え、未来の社会保障のあり方を考えていくべき時期に来ています。
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