私たちの生活を支える製品の多くは、今や高度な産業用ロボットによって生み出されています。そのロボットの動きを司る「心臓部」とも言える重要なパーツが、精密減速機です。これは、モーターの回転速度を落とすと同時に大きなパワーを生み出し、ロボットの腕をミリ単位で正確に操るための「関節」のような役割を果たしています。
実は、この分野で世界をリードしているのは日本企業です。ナブテスコやハーモニック・ドライブ・システムズといったトップランナーが、圧倒的なシェアを誇っています。熟練の技術が詰まった日本製の減速機は、その高い精度から、製造業のクオリティを決定づける存在として、世界中のメーカーから熱い視線を浴び続けているのです。
2019年12月20日現在、この業界は大きな転換点を迎えています。2017年から2018年にかけては、中国市場の爆発的なロボット需要により、製品が手に入らないほどの供給不足が続いていました。しかし、足元では米中貿易摩擦の激化が影を落とし、多くの企業が設備投資に慎重な姿勢を見せており、受注状況は一時的な停滞期に入っています。
逆風を追い風に変える!中長期的な需要拡大を見据えた各社の布石
具体的な数字を見ると、市場の厳しさが浮かび上がります。例えば、業界大手のハーモニック・ドライブ・システムズにおける2019年7月から9月の受注額は11億円となり、ピーク時の2017年同時期と比較して85%も減少しました。SNS上でも「景気の冷え込みが心配だ」という声が一部で上がっていますが、現場のプロたちは決して悲観していません。
同社の上條和俊執行役員は、顧客側の在庫調整が2020年夏ごろには一巡すると予測しており、反転攻勢の時期を冷静に見定めています。私は、この「踊り場」の時期こそが、次なる飛躍への力を蓄える貴重な準備期間になると確信しています。需要が一時的に落ち着いている今、どれだけ技術を磨き、生産体制を整えられるかが勝負の分かれ目です。
実際に、各メーカーは虎視眈々と次なる成長期を見据えています。日本電産シンポは2018年にドイツのメーカーを買収し、世界規模での販路拡大を加速させました。また、長野県安曇野市ではハーモニック・ドライブ・システムズの新工場棟が稼働を開始するなど、未来への投資は止まりません。波乱の時代こそ、日本のものづくりの真価が問われる時でしょう。
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