世界中にライドシェアの革命を起こした米ウーバーテクノロジーズですが、その生みの親であるトラビス・カラニック氏が、自身の持つ同社株式の約9割を売却したことが2019年12月20日までに判明しました。かつてのカリスマ経営者が、自身が築き上げた巨大企業の所有権をほぼ手放すという衝撃的なニュースは、投資家のみならず多くのビジネスパーソンの視線を集めています。
2019年5月にウーバーが新規株式公開(IPO)を果たした際、カラニック氏は発行済み株式の5.8%に相当する9750万株を保有していました。しかし、米証券取引委員会(SEC)への提出文書によれば、既存株主による売却が制限される「ロックアップ」が11月に解禁されて以降、彼は猛烈な勢いで売却を進め、2019年12月18日時点での保有数はわずか0.5%まで激減しています。
SNS上では「ついに創業者が逃げ出したのか」「次のビジネスに全振りするつもりだ」といった驚きや憶測が飛び交い、トレンドを賑わせています。かつての不祥事によりCEOを辞任した経緯があるとはいえ、これほど短期間で資産を現金化する動きは異例と言えるでしょう。現在の筆頭株主であるソフトバンクグループとのパワーバランスの変化も、今後の経営に少なからず影響を与えるはずです。
食のプラットフォームを変える新事業「クラウドキッチン」の全貌
カラニック氏が巨額の資金を手にして挑む「次の一手」こそ、現在彼が心血を注いでいる新興企業「クラウドキッチン」です。この事業は、客席を持たずデリバリーのみに特化した飲食店向けに、調理スペースを貸し出すビジネスモデルです。初期投資を抑えてネット宅配ビジネスに参入したいシェフにとって、まさに救世主のようなプラットフォームとなる可能性を秘めています。
この「クラウドキッチン」は、日本語では「ゴーストレストラン」とも呼ばれ、物理的な店舗を構えるリスクを排除できるのが最大の特徴です。2019年現在、サンフランシスコを中心に急速な広がりを見せており、ウーバーで培った配送ネットワークの知見が存分に活かされるでしょう。移動のインフラを作った彼が、今度は「食のインフラ」を再定義しようとしている姿には、底知れぬ野心を感じます。
個人的な見解として、カラニック氏のこの決断は極めて合理的かつ攻めの姿勢であると評価しています。ウーバーという過去の栄光に固執せず、成長著しいフードテック市場へ戦場を移すスピード感は、まさにシリアルアントレプレナー(連続起業家)の鑑です。彼が描く新しい食のスタイルが、私たちの生活をどのように変えていくのか、その動向から一刻も目が離せません。
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