2019年12月10日現在、インターネットを通じて個人のスキルや労働力を売買する「スキルシェア」が急速な広がりを見せています。エニタイムズに代表されるマッチングサイトは、部屋の掃除やちょっとした軽作業を依頼したい人と、空き時間で働きたい人を結びつける画期的な仕組みです。組織の枠組みにとらわれず、自分のペースで報酬を得られるこのスタイルは、自由を愛する現代人にとって非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
しかし、こうした個人間取引(CtoC)の普及に伴い、現場では「安心感の醸成」という大きな壁に直面しています。例えば、3000円で部屋の清掃を請け負った際、作業後に「ついでにベランダも綺麗にしてほしい」と追加の要求をされたらどうすべきでしょうか。現状では、こうしたイレギュラーな事態に対応するための統一されたルールや詳細なマニュアルは整備されておらず、現場の判断に委ねられているのが実情です。
法規制が届かない「自由な働き方」に潜むリスク
SNS上では「副業として気軽に始められる」と期待する声が上がる一方で、「トラブル時の責任の所在が不透明で不安だ」といった懸念も散見されます。各プラットフォーム運営者は約款によって公序良俗に反する行為を禁じていますが、個々のユーザー同士のやり取りをリアルタイムで監視し、未然にトラブルを防ぐことには物理的な限界があります。もし依頼を完遂できなかった場合、報酬をどう精算するかという点も非常に頭の痛い問題です。
ここで重要となるのが、法的な保護の有無です。通常、会社員に適用される「労働基準法」は、労働時間や休日、安全衛生などを守るための法律ですが、個人事業主として契約するマッチングサービスの働き手には適用されません。つまり、案件ごとの契約内容によっては、時給換算した報酬が地域の「最低賃金(国が定める、雇い主が支払わなければならない最低限の賃金)」を下回ってしまう恐れさえあるのです。
業界団体であるシェアリングエコノミー協会は、トラブルは「利用者間での解決が原則」という姿勢を崩していません。これに対し、川上資人弁護士からは、実質的に事業者が働き手を管理している実態があるならば、プラットフォーム側も責任を負うべきだという鋭い指摘もなされています。私は、利便性を追求するあまり、現場で汗を流す人々が使い捨てにされるような構造は、健全な文化の発展を阻害すると危惧しています。
新しい働き方が真に社会に根付くためには、運営事業者が「場」を提供するだけでなく、セーフティネットの構築にも主体的に関与することが求められるでしょう。働き手の権利を守る仕組みづくりこそが、サービスの信頼性を高める鍵となります。2019年12月10日の時点において、この課題解決に向けた議論はまさに正念場を迎えており、今後の業界の誠実な対応が注目されています。
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