2019年12月20日、全日本フィギュアスケート選手権の男子ショートプログラム(SP)が行われ、フィギュア界のレジェンドである高橋大輔選手が、シングルスケーターとして最後となるSPの舞台に立ちました。多くのファンが固唾を呑んで見守る中、選ばれたのは情熱的で激しいナンバーです。しかし、競技直後の彼は「今までで一番よくなかった」と苦笑いを浮かべ、自身の演技を厳しく振り返る姿が印象的でした。
演技の序盤、大技であるトリプルアクセル(前向きに踏み切る3回転半ジャンプ)で着氷を乱してしまったことが、その後の歯車を狂わせたのかもしれません。ミスを挽回しようと体に力が入りすぎたことで、「足にきてしまった」とスタミナの消耗を告白しています。プログラム後半の3回転ジャンプでは転倒を喫してしまい、結果は65.95点の14位という、彼の実力からすれば予想外の順位に沈むこととなりました。
数字以上の感動を呼んだ「表現力」とSNSでの熱狂
得点や順位だけを見れば苦戦した形となりますが、特筆すべきは演技構成点です。ジャンプのミスがありながらも、表現力を評価するこの項目では全体3位となる42.42点を叩き出しました。これこそが、長年世界を魅了し続けてきた彼にしか成し得ない「氷上の芸術」の証と言えるでしょう。SNS上でも、「順位なんて関係ない、彼の滑りが見られるだけで幸せ」「魂のステップに涙が止まらない」といった熱いメッセージが溢れかえっています。
ハードな楽曲を選んだことについては、「練習が積みきれず、このテンションを維持するのは難しかった」と吐露する場面もありました。しかし、私はこの飽くなき挑戦心こそが高橋選手の魅力だと確信しています。安全策をとらず、常に高みを目指す姿勢は、多くのアスリートにとって道標となるはずです。2019年12月22日に控えるフリースケーティングは、彼が一人でリンクを駆ける最後の瞬間となります。
「最後の一人での滑りを楽しみたい」と語る高橋選手。アイスダンスという新天地への転向を目前に控え、彼がどのようなフィナーレを飾るのか、日本中がその勇姿を記憶に焼き付けようとしています。結果を超えた先にある、一人の表現者としての集大成に期待せずにはいられません。これまで積み上げてきた全ての想いが、氷の上で輝くことを願ってやみません。
コメント