2019年12月20日、東京・国立代々木競技場で開催された全日本フィギュアスケート選手権の男子ショートプログラム(SP)にて、羽生結弦選手が圧倒的な存在感を放ちました。約2週間前に行われたグランプリ(GP)ファイナルでは、宿敵ネーサン・チェン選手に大差をつけられ2位という結果に終わり、精神的な消耗も激しかったと本人は語っています。しかし、海外での調整中に届いた温かいメッセージが、彼の折れかけた心を再び氷上へと繋ぎ止めたのです。
今回の構成では、ジャンプの順番を入れ替えるという大胆な戦略変更が2019年12月の短い準備期間の中で決断されました。「ショートは完璧に滑りきってこそ意味がある」という信念のもと、あえて基礎点を下げる代わりに、技の美しさを評価する出来栄え点(GOE)を確実に狙う守りと攻めのバランスを選択したのです。SNS上では、この冷静な自己分析と勝利への執念に対し、「どこまでもストイックで震える」といったファンからの熱い声援が殺到しています。
満身創痍の中で見せた王者の地力と「完璧」へのこだわり
演技が始まると、冒頭の4回転サルコーを羽のように軽やかに着地し、続く連続ジャンプも寸分の狂いなく成功させました。最後のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)でわずかに重心が沈んだことを本人は「ミス」と厳しく振り返りますが、非公認ながら世界最高得点となる110.72点を叩き出した事実は、まさに異次元の領域でしょう。連戦による疲労が色濃く残る中でも、今の自分が出せる限界を超えたパフォーマンスに、会場のボルテージは最高潮に達しました。
今大会において彼が最も重視しているのは、実はタイトル奪還よりも「大きな怪我なく滑り切ること」だといいます。自身の身体と対話を続け、疲労をコントロールしながらも観客の期待に応える姿には、アスリートとしての真の強さを感じずにはいられません。かつてない過密スケジュールの真っ只中にいながら、一歩も引かずにリンクに立つその覚悟は、技術を超えた感動を私たちに与えてくれます。フリーに向けた更なる飛躍に、今は期待が膨らむばかりです。
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