2019年12月23日、ビジネスの現場で長らく「潤滑油」として重宝されてきた接待文化が、大きな転換点を迎えています。これまで企業が顧客との関係を深め、売上を伸ばすために投じてきた「交際費」ですが、近年のデータを見ると、その費用対効果に明らかな陰りが見え始めているのです。
SNS上でも「令和の時代に飲みニケーションは非効率」「会うよりも中身で勝負すべきだ」といった、これまでの商習慣を疑問視する声が相次いでいます。デジタル化が加速するなかで、従来の顔を突き合わせた対面営業の力が、少しずつ弱まっている様子が浮き彫りになってきました。
交際費特例の縮小とIT化の波
そもそも交際費は、税務上のルールで「損金(そんきん)」、つまり税金を計算する上でのマイナス分として計上することが原則認められていません。しかし、景気刺激策として、一定額までを損金扱いにして税負担を軽くする「交際費特例」という優遇措置が設けられてきました。
国税庁の「会社標本調査」によれば、2013年度には3兆8254億円だった交際費が、2017年度には3兆8104億円にまで膨らんでいます。しかし、驚くべきは効率の悪化です。売上高10万円を得るために必要な交際費は、206円から251円へと約2割も跳ね上がってしまいました。
この背景には、メールやデータ活用を駆使した営業手法の普及があります。わざわざ会食を設定せずとも、緻密な顧客分析に基づいたアプローチの方が成果を上げる時代になったのでしょう。IT業界を中心に「接待で売上が上がる実感はない」と断言する担当者が増えています。
成長投資へのシフト!政府が促す資金の使い道
こうした状況を受け、政府も2019年度末をもって大企業向けの交際費減税を縮小する方針を固めました。これまでは「飲食にお金を使えば消費が活性化する」という考えでしたが、これからはその資金をスタートアップ企業との連携など、次世代の成長投資へ回すよう求めています。
私は、この変化を非常に健全な流れだと捉えています。お酒の席での人情に頼るビジネスから、提供するサービスの質やデータに基づいた合理的な価値創造へと、日本企業の戦い方がアップデートされる絶好の機会です。ビジネスの形は今、劇的に進化しようとしています。
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