30年余り続いた平成という時代が幕を閉じ、新たな「令和」の時代が始まりましたが、日本の大手金融機関では未だに「平成入社組」の経営トップは誕生していません。こうした中、銀行グループ第4位の「りそなホールディングス」において、世代交代の足音が着実に聞こえ始めています。
SNS上では「ついに銀行にも新しい風が吹くのか」「バブル崩壊後の苦境を知る世代の活躍に期待したい」といった声が上がっており、若返りを図る人事への注目度は非常に高いようです。旧態依然とした金融界において、りそなが先陣を切って新時代のリーダーを抜擢できるか、今まさに大きな岐路に立たされています。
再生の祖・細谷英二氏が遺した「脱・銀行」の帝王学
今回の人事報道の引き金となったのは、2019年秋に報じられた埼玉りそな銀行の池田一義社長の去就でした。池田氏は1981年に入行し、現トップの東和浩氏と共にグループを牽引してきた功労者です。彼が財界活動へシフトするという見方が広まったことで、グループ全体の総帥交代がにわかに現実味を帯びてきました。
かつて、りそなは2003年5月に2兆円もの公的資金を注入され、存亡の機に立たされました。その際、JR東日本から招かれた故・細谷英二氏は「銀行の常識は世間の非常識」と断じ、抜本的な改革を断行しました。その柱の一つが、客観的にリーダー資質を見極める「CEOサクセッション・プラン」という後継者育成計画です。
サクセッション・プランとは、次世代の経営幹部を中長期的に育成・選抜する仕組みのことです。個人の能力だけでなく、チームプレーの精神や旧銀行時代の派閥意識にとらわれていないかが厳格にチェックされます。細谷氏は2012年に逝去するまで、自らの側近に有望な若手を置き、経営の真髄を叩き込みました。
「花の平成元年入社」3人衆が描く、デジタルと実店舗の融合
現在、第3世代の候補として名前が挙がっているのが、岩永省一氏、福岡聡氏、南昌宏氏の3名です。驚くべきことに、彼らは全員が「1989年(平成元年)入社」という共通点を持っています。旧大和銀行や旧埼玉銀行といった出身母体は異なりますが、まさに「平成」という時代と共に歩んできた精鋭たちです。
彼らが挑むのは、日本市場に特化した独自の生存戦略です。特に注目したいのは、デジタルとリアルの店舗を融合させる「オムニチャネル戦略」の深化でしょう。これは、スマートフォンアプリなどのデジタル接点と、対面での温かい接客をシームレスにつなぎ、顧客に最適な体験を提供するマーケティング手法を指します。
メガバンクのように海外展開に活路を求めるのではなく、マイナス金利が続く厳しい国内環境でいかに付加価値を生むかが問われています。私は、この「地に足のついた改革」こそが、今の日本企業に最も必要とされる姿勢だと考えます。若きリーダーがデジタル技術を駆使し、銀行を「サービス業」へと進化させる姿に期待せずにはいられません。
細谷氏はかつて「旧行のしがらみがない世代がトップに立ったとき、真の再生が完了する」と語っていました。2019年12月24日現在、金融界で最も若いトップは1985年入行世代ですが、もし平成組が誕生すれば歴史的な快挙となります。恩師の想いを継ぐ東社長がどのような決断を下すのか、その瞬間に世界が注目しています。
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