日本の海を支える巨大産業が、今まさに未曾有の荒波に立ち向かおうとしています。2019年12月24日、日本造船工業会の斎藤保会長は定例記者会見の場に立ち、国内造船メーカーの間で加速する合従連衡、つまり勢力を結集して連携を強める動きについて、非常に力強い言葉で言及されました。
斎藤会長は、現在の状況を「構造改革のターニングポイント」と位置づけています。これは単なる協力関係の構築にとどまらず、業界全体のあり方を根本から変える大きな分岐点に来ていることを示唆しているのでしょう。長らく続いた厳しい環境から脱却しようとする、業界の強い意志が感じられる発言です。
SNS上では、このニュースに対して「ついに日本の造船も世界に対抗するために一つになるのか」「技術力は高いのだから、再編で効率化が進めば最強になれるはず」といった、期待と危機感が入り混じった声が多く寄せられています。多くの人々が、この再編を日本経済の底力を示すチャンスと捉えているようです。
首位と2位が手を組む!歴史的な資本・業務提携の衝撃
今回の再編劇において最も注目すべきは、国内首位の今治造船と2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU)による資本・業務提携の基本合意です。2020年3月までには具体的な詳細がまとめられる予定となっており、この動きが「業界全体に多大な影響を及ぼすだろう」と斎藤会長は確信を持って語りました。
この巨大連合の誕生は、停滞していた他メーカーの背中を強力に押し、再編への機運を一気に高める起爆剤になるはずです。世界市場で戦うためには、個々の企業がバラバラに動くのではなく、経営資源を集中させて「規模の利益」を追求することが、もはや避けられない戦略となっているからでしょう。
ここで言う「規模の利益」とは、生産量を増やすことで製品1つあたりのコストを抑え、価格競争力を高める仕組みを指します。中韓勢との激しい受注合戦が続く中、日本の造船所が生き残るためには、この合理化こそが唯一の処方箋と言えるのかもしれません。
過去最低レベルの受注残と迫られる構造改革の断行
しかし、再編の背景には非常にシビアな現実が横たわっています。2019年1月から11月までの国内受注量は、前年同期と比べて13パーセントも減少する823万総トンに留まりました。現場が抱える仕事量を示す「手持ち工事量」は、歴史的な低水準まで落ち込んでおり、工場を維持することすら困難な状況です。
こうした苦境を受け、各社は余剰な生産能力を削ぎ落とすリストラを加速させています。例えば三菱重工業は、長崎造船所の香焼工場を大島造船所へ売却する方針を固めました。また、三井E&Sホールディングスも千葉工場での商船建造から事実上撤退するなど、痛みを伴う決断が相次いで発表されています。
編集者としての私見ですが、こうした「選択と集中」は、日本造船業が次世代へ繋ぐための脱皮の過程だと考えています。古い体制を脱ぎ捨て、得意分野に特化することで、再び世界をリードする「造船王国」の誇りを取り戻す日が来ることを願ってやみません。
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