北海道の北西部に位置する留萌市で、地域の足として親しまれてきたJR留萌線が大きな転換点を迎えています。2019年12月19日、中西俊司市長はインタビューに応じ、これまで維持を模索してきた鉄路について、廃線を選択肢に含める意向を明らかにしました。
市長がこの厳しい決断に踏み切った背景には、市が直面する切実な財政状況があります。現在、留萌市にとって最優先すべきは、市民の命を繋ぐ「二次救急病院」である留萌市立病院の維持です。二次救急とは、入院や手術が必要な重症患者を受け入れる重要な医療体制を指します。
人口減少が進むなかで、限られた予算をどこに投じるべきかという問いに対し、市長は「鉄道よりも病院や老朽化した公共施設」という現実的な優先順位を示しました。SNS上では「寂しいが、命に関わる病院の方が大事なのは理解できる」といった、苦渋の選択に理解を示す声が広がっています。
現在の留萌線は、運行本数が1日わずか9本と限られており、利便性の面で課題を抱えています。例えば札幌への出張では、最終列車の時間が早すぎるため、ビジネスやレジャーの「足」として十分に機能しているとは言い難いのが実情でしょう。
高齢者の方々からも、駅での乗り換えが慌ただしく、スムーズな移動が難しいという切実な声が上がっています。これに対して高速バスであれば、札幌まで乗り換えなしで移動でき、深川・留萌自動車道の整備が進むことで、さらなる利便性の向上が見込まれています。
鉄道を維持するためには、沿線自治体で毎年約9億円という巨額の負担が必要になると試算されています。一般会計予算が約131億円の留萌市にとって、そのうちの約6億円を負担し続けることは、将来の街づくりを圧迫しかねない大きなリスクといえます。
もしバス転換が実現すれば、複数のバス会社による運行体制が整い、より柔軟なダイヤ設定が可能になるでしょう。市長は、現在の留萌駅舎を交通ターミナルや教育施設として再生させるビジョンも描いており、廃線を単なる「終わり」ではなく「新しい街の始まり」と捉えています。
私自身の見解としても、ノスタルジーだけでインフラを維持できる時代は終わったと感じます。住民が本当に必要としているのは「レール」そのものではなく、病院や買い物へ安全に行ける「移動手段」です。形を変えてでも、地域の活力を守る決断は尊重されるべきではないでしょうか。
2020年2月には市民向けの説明会も予定されており、議論はいよいよ本格化します。全国の自治体が直面する「ローカル線のあり方」という難題に対し、留萌市がどのような答えを出すのか。その決断の行方は、日本の地方自治の未来を占う試金石となるはずです。
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