中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」が、いよいよ世界の物流網を塗り替えようとしています。2019年12月27日現在の独自集計によれば、中国は過去10年間で少なくとも18カ国、25もの港湾案件に投資を行い、その総額は1兆2000億円という巨額に達していることが判明しました。この猛烈な進撃を支えているのは、中国政府の強い意志を体現する2つの国有巨大企業です。
その中心を担うのが、海運最大手の「コスコ・グループ(中国遠洋海運集団)」と、清朝時代からの歴史を持つ複合企業「招商局集団」です。彼らはまさに構想の「先兵」として、アジアから欧州、アフリカに至るまで、戦略的な要衝を次々と手中に収めています。SNS上では、このあまりにスピーディーな海洋進出に対し、「世界の物流が中国に握られるのではないか」と驚きと警戒の声が広がっています。
欧州の玄関口、ギリシャ・ピレウス港で見せた圧倒的な存在感
特に注目すべきは、地中海の要衝であるギリシャのピレウス港です。コスコは2019年11月に、約720億円もの追加投資をギリシャ政府と合意しました。同社は2008年に運営権の一部を得てから着実に影響力を強め、2016年には運営会社の株式の51%を取得して経営権を握りました。現在では、中国製品を鉄道で欧州各地へ届ける拠点として、輸送時間を大幅に短縮する成果を挙げています。
投資の成果は数字にも如実に現れています。2社が手掛ける海外港湾のうち、2018年にはその多くで貨物取扱量が増加しており、10%以上の急成長を見せる拠点も珍しくありません。一帯一路とは、中国から欧州へ至る陸路と海路を整備し、巨大な経済ネットワークを築く構想ですが、港湾はそのネットワークを繋ぐ「結び目」として、極めて重要な役割を果たしているのです。
「債務のワナ」と軍事転用への懸念、立ちふさがる世界の壁
しかし、この順風満帆に見える拡大路線には影も差しています。2019年12月現在、各地で法廷闘争や住民の反発が表面化しています。例えばジブチ港では、先客であったドバイの企業から「強引に割り込まれた」として提訴される事態に発展しました。さらに米国政府は、中国が出資した港湾が将来的に「軍事拠点」として利用されるのではないかと、強い警戒感を示しています。
専門家が指摘するのは「債務のワナ」への懸念です。これは、途上国に多額の融資を行い、返済が滞った際に港の権益を奪う手法を指します。一編集者の視点で見れば、中国の投資は現地のインフラ発展に寄与する側面がある一方、一国への過度な依存は国家の主権を脅かす諸刃の剣とも言えます。経済的合理性と政治的思惑が交錯する中、世界はこの巨大な資本の波とどう向き合うべきなのでしょうか。
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