2019年10月に日本を襲った台風19号。その甚大な被害により、神奈川県が誇る観光名所・箱根は今、大きな試練の時を迎えています。名物の「箱根登山鉄道」は一部区間で運休を余儀なくされ、観光客数も前年を大きく下回る厳しい状況が続いているのです。
しかし、小田急箱根ホールディングスの五十嵐秀社長は、この苦境を未来へのステップと捉えています。2019年12月28日に行われたインタビューで、五十嵐氏は2020年の東京五輪・パラリンピックを見据えた、箱根の「新しい楽しみ方」について熱く語ってくれました。
SNS上では「登山電車の復旧を心待ちにしている」「箱根が元気にならないと寂しい」といった応援の声が多数寄せられています。こうしたファンの期待に応えるべく、鉄道の全線運転再開は2020年秋を目標に進められており、復旧への歩みは着実に進んでいると言えるでしょう。
インバウンドが熱視線!「夜の箱根」を遊び尽くす新戦略
現在、観光業界で注目されているキーワードが「ナイトタイムエコノミー」です。これは、夜間から早朝にかけての経済活動を指す専門用語で、欧米では一般的ですが、日本ではまだ開拓の余地がある分野として期待を集めている真っ最中なのです。
五十嵐社長は、昼間だけの観光から脱却し、インバウンド、つまり訪日外国人客が満足できる「夜の箱根」を演出したいと考えています。実際に2019年には強羅公園での幻想的なライトアップや、芦ノ湖でのサンセット・クルーズといった魅力的な企画を次々と打ち出しました。
海賊気分で食事やショーを楽しめるクルーズは、まさに非日常を感じられる体験として評判を呼んでいます。2020年は「ゴールデンコース」誕生60周年という節目でもあり、これまでの伝統に新しいエンターテインメントを融合させた、驚きの企画が飛び出すかもしれません。
私は、この「夜の観光」へのシフトこそが、箱根が再び輝くための鍵になると確信しています。温泉で疲れを癒やした後に、特別な夜の体験が待っている。そんな贅沢な過ごし方は、国内の「働き方改革」で有休を取得しやすくなった日本人旅行者にも、深く刺さるはずです。
多言語対応で「おもてなし」を強化!世界へ開く箱根の扉
2020年の夏に開催される東京五輪では、ラグビーワールドカップを上回る外国人客の来訪が予想されます。前回の苦い経験を糧に、同社は主要駅のデジタルサイネージをこれまでの2カ国語から、日・英・中・韓の4カ国語対応へと一気にアップデートする計画を立てています。
観光客がストレスなく目的地へたどり着ける環境を整えることは、最高のおもてなしの第一歩です。多言語での案内強化により、世界中の人々が箱根の隠れた魅力をスムーズに発見できるようになるでしょう。こうした地道な努力が、観光地の裾野を広げる原動力となるのです。
編集者として思うのは、箱根の底力は単なる景勝地としての美しさだけではないということです。災害という困難を前にしても、それを「観光資源の再発見」の機会に変えようとする不屈の精神こそが、2020年の箱根をより一層輝かせる一番のスパイスになるのではないでしょうか。
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