大規模な自然災害が相次ぐ昨今、被災された方々にとって最も切実な問題は「生活再建の資金」ではないでしょうか。三井住友海上火災保険は、2020年から大規模水害の被災者に対し、保険金を無条件で全額支払う画期的な制度を導入することを決定しました。これは、従来のように担当者が一軒ずつ訪問して調査を行う仕組みを根本から覆す、業界初の試みとして注目を集めています。
これまでの保険金請求では、損害の程度を確定させる「査定」というステップに膨大な時間を要していました。特に被害が広範囲にわたる巨大災害では、査定員が不足し、保険金が手元に届くまで1ヶ月以上かかることも珍しくありません。しかし、新制度が稼働すれば、なんと被災からわずか1週間程度で保険金を受け取ることが可能になります。このスピード感は、再建を急ぐ人々にとって大きな希望となるでしょう。
ドローンとAIが実現する驚異のスピード査定
この迅速な支払いを支えるのが、最先端の「AI(人工知能)」とドローンの活用です。ドローンで撮影した地形データと、数箇所の実際の浸水深を照合させることで、地域全体の被害状況をAIが瞬時に推定します。実証実験では、既に90%以上の精度で浸水状況を測定できることが確認されました。これまで人の手で行っていた膨大な写真分析や現地調査をテクノロジーが代替し、判定の自動化を実現したのです。
SNS上では「これこそテクノロジーの正しい使い方」「被災直後の不安な時期に、お金の心配が早く消えるのはありがたい」といった、期待に満ちた声が多く上がっています。特に2019年10月12日に発生した台風19号のような大規模水害を想定しており、2階まで浸水したような深刻な地域が「全損」として一括認定の対象となります。対象地域の契約者は、電話一本で手続きが完了するという簡便さも魅力です。
迅速な支払いがもたらす社会的な意義と未来
保険金の早期支払いは、個人の生活再建だけでなく、地域経済の崩壊を防ぐ防波堤にもなります。企業の資金繰りが円滑になれば、災害に起因する倒産、いわゆる「関連倒産」を大幅に減らすことが期待できるでしょう。2019年12月29日現在の推計では、もし首都圏の河川が氾濫した場合、従来の方式では支払い完了まで4ヶ月以上を要するとされており、自動化による効率化はもはや避けて通れない課題です。
編集者の視点として、この取り組みは単なる「時短」に留まらない価値があると考えます。査定コストが削減されれば、損保会社の経営効率が向上し、巡り巡って私たちの火災保険料の急激な上昇を抑える要因にもなり得るからです。2020年からの運用開始により、保険が「いざという時に、すぐ頼れる存在」へと進化する瞬間を、私たちは目の当たりにすることになるでしょう。
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