私たちの日常に深く根差し、全国で約5万8000店舗も展開されているコンビニエンスストアが、今まさに歴史的な岐路に立たされています。いつでも明かりが灯り、欲しいものが手に入る「24時間営業」という当たり前の風景が、2019年に入り大きな変化を迎えました。その背景にあるのは、深刻な深刻な人手不足という避けては通れない壁なのです。
事態が大きく動き出したのは、2019年2月のことでした。大阪府東大阪市にあるセブン―イレブン・ジャパンの加盟店が、人手不足を理由に自主的な営業時間短縮へと踏み切ったのです。この勇気ある行動は瞬く間に拡散され、SNS上では「オーナーが倒れてしまう」「24時間営業はもう限界だ」といった、加盟店側への強い同情と支持の声が巻き起こりました。
コンビニ業界の根幹を成す「フランチャイズチェーン(FC)契約」では、売上から本部に支払うロイヤリティを除いた中から、加盟店が自前で人件費を捻出する仕組みになっています。近年の賃金高騰は、店舗経営を圧迫する大きな要因となりました。深夜の労働力を確保できず、オーナー自らが不眠不休で店頭に立ち続けるという、過酷な実態が浮き彫りになったのです。
一連の騒動を受け、業界最大手のセブン―イレブンは深夜休業に関する新たなガイドラインを策定しました。そして2019年11月1日から、一部の店舗において深夜帯の営業を停止する試みが本格的に始動しています。利便性を最優先してきたこれまでのビジネスモデルが、持続可能性を重視する方向へと舵を切り始めた瞬間と言えるでしょう。
同様の動きは他社にも波及しており、ファミリーマートも2019年11月に大きな決断を下しました。加盟店側が時短営業を実施するかどうかを自ら選択できるよう、FC契約を改定する方針を固めたのです。本部が一律にルールを強制するのではなく、各地域の状況に合わせた柔軟な運営を認める姿勢は、業界全体の健全化に向けた一歩として期待されています。
編集者の視点から申し上げれば、この変革は「消費者としてのマナー」を再考する機会でもあります。私たちは過剰なサービスに慣れすぎてしまい、その裏にある労働者の犠牲を見過ごしてきたのかもしれません。人手不足という現実に直面し、企業が利益だけでなく「働く人の尊厳」を守る選択をしたことは、令和という新時代の幕開けに相応しい英断だと確信しています。
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