西日本豪雨から1年、2019年の中国地方を振り返る。インフラ復旧と「命を守る避難」の現在地

2018年に発生し、中国地方に計り知れない爪痕を残した西日本豪雨から、早いもので1年が経過しました。2019年12月27日現在、私たちの愛する街は少しずつ元の姿を取り戻しつつあります。特に大きなニュースとなったのは、橋脚の倒壊によって一部区間が遮断されていたJR芸備線の全線運転再開でしょう。2019年10月23日、約1年3カ月ぶりに広島県の内陸部と広島市が鉄路で結ばれた瞬間は、沿線住民にとって希望の光となったに違いありません。

生活の基盤となるインフラ整備は着実に前進していますが、被災された方々の生活再建は今もなお険しい道のりが続いています。政府は2019年12月、仮設住宅の入居期限を原則2年から延長することを決定いたしました。住まいの確保が難航している現状を鑑みた異例の措置ですが、これは復興がまだ完了には程遠いことを物語っています。SNS上でも「家を建てる場所が見つからない」「支援の手を緩めないでほしい」といった切実な声が絶えず、支援の継続性が問われています。

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「レベル4」でも動けない?避難行動の定着に向けた大きな壁

インフラという「形」の復旧に対し、私たちの「意識」のアップデートには課題が山積しています。2019年6月の大雨の際、新たに導入された5段階の「警戒レベル」が運用されました。これは数字が大きいほど危険度が増す仕組みで、全員避難を意味する「レベル4」の避難勧告が初めて発令されたのです。しかし、実際に避難した人の割合は、レベル3の対象者を含めてもわずか0.17%という衝撃的な数字にとどまってしまいました。

この状況に、広島県の湯崎英彦知事は「情報の伝え方を再考し、自分事として認識してもらう必要がある」と強い危機感を募らせています。筆者の意見としては、システムを新しくするだけでは不十分だと考えます。人は「自分だけは大丈夫」という正常性バイアス(予期せぬ事態に直面した際、心を平穏に保とうと過小評価してしまう心理)に陥りがちです。過去の悲劇を風化させず、具体的なリスクを想像できるような情報発信が、自治体にはより一層求められるでしょう。

2019年という年は、物理的な復興が進む一方で、防災というソフト面の難しさが浮き彫りになった一年でした。線路がつながり、道路が直っても、そこに住む人々の命が守られなければ真の復興とは呼べません。避難勧告が出た際に「まずは動く」という文化を地域全体で育むことこそが、亡くなった方々への何よりの供養になるはずです。新しい年を迎えるにあたり、私たち一人ひとりが防災を日常の一部として捉え直すことが、中国地方の未来を明るく照らす鍵となるでしょう。

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