東京・代々木の閑静な住宅街を歩いていると、まるで隠れ家カフェのような洗練された佇まいの建物が目に飛び込んできます。扉を開けた瞬間に広がるのは、本格的なバーカウンターと芳醇なクラフトビールの香りです。一見すると都心のスタイリッシュな飲食店ですが、ここは実は「銭湯」という意外な顔を併せ持っています。
運営を担う株式会社チルアンドワークの榊原綾香代表は、2020年01月01日時点で、ここを「特別な非日常」ではなく「心地よい日常」の延長線として定義しています。提供されるのは、全国から厳選されたクラフトビールや自家製サンドイッチ。看板犬のジェスがのんびりと寛ぐ姿は、訪れる人々の心を自然と解きほぐしてくれるでしょう。
SNS上では「お風呂上がりに本格的なビールが飲めるなんて最高すぎる」「内装がおしゃれで銭湯の概念が変わった」といった感動の声が数多く寄せられています。事前情報が溢れる現代だからこそ、あえて「裸の付き合い」という原点回帰のスタイルが、若者たちの間でも新鮮な体験としてポジティブに受け入れられているようです。
すっぴんで語らう、現代のサードプレイス
2020年01月01日の夜、店内ではドッグラン帰りの住民が談笑し、のれんの奥からはドライヤーの音が響いていました。4歳の長女と訪れていた伊藤愛美さんは、周囲に気を使わずに過ごせる適度な距離感が魅力だと語ります。専門用語でいう「サードプレイス(家庭や職場以外の第3の居場所)」として、理想的な機能を見せています。
代々木上原という街が持つ「個人商店の温かさ」を大切にする榊原さんは、すっぴんや普段着で交わされる他愛のない会話にこそ価値があると考えています。目の前の人の表情を読み、空気感を感じ取るコミュニケーションは、デジタル化が進む現代において、私たちが無意識に渇望している「健全な繋がり」なのかもしれません。
個人的な見解ですが、この「バスハウス」の試みは、孤立しがちな都市生活における新しい「縁」の形を提示していると感じます。お風呂という究極のリラックス状態が、心の壁を低くし、見知らぬ人同士の間に程よい連帯感を生むのでしょう。日常の中で心身を整える「チル」な習慣は、今後さらに重要性を増していくはずです。
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