日本を代表するAIスタートアップ、Preferred Networks(プリファード・ネットワークス)が、2019年12月27日に衝撃的な発表を行いました。これまで同社が心血を注いで開発してきた深層学習フレームワーク「Chainer(チェイナー)」の開発を、保守を除いて終了するというのです。今後は、米フェイスブックが主導する「PyTorch(パイトーチ)」へと開発基盤を全面的に移行させ、世界の技術トレンドと足並みを揃える方針を固めました。
「深層学習フレームワーク」とは、AIの学習を効率化するためのソフトウェアの土台のような存在です。数式を一から書かなくても高度なAIを構築できる、料理でいう「万能調理器」のような役割を果たします。2015年に公開されたChainerは、その使いやすさから日本のAI界を牽引してきましたが、世界的な競争環境の変化により、一つの時代が幕を閉じることになったようです。
なぜ今、自社開発を辞めるのか?成熟した技術市場の裏側
このニュースに対して、SNS上では「国産技術の象徴だっただけに寂しい」という声がある一方で、「現実的で賢明な経営判断だ」と評価する意見も多く見られました。同社の秋葉拓哉執行役員は、移行の理由にフレームワーク技術の成熟を挙げています。もはや自社で基盤を作り込んでも他社との差別化が難しく、それならば世界標準のツールに乗り換えて、より実用的な技術開発にリソースを集中すべきだという判断でしょう。
移行先として選ばれたPyTorchは、フェイスブックが提供する世界的に人気の高いライブラリーです。最新のAI研究論文でも採用率が非常に高く、Chainerと操作性が似ていることが決め手となりました。Preferred Networksは今後、自社設計の高速プロセッサー「MN-Core」の開発や、より具体的な社会実装に向けたプロジェクトへ、精鋭エンジニアたちの才能を注ぎ込んでいく見込みです。
私個人の見解としては、この決断はまさに「選択と集中」の極みだと感じます。自尊心に縛られず、より大きな成果のために道具を替える柔軟性こそが、不確実なAI業界で生き残るために必要不可欠な姿勢ではないでしょうか。Chainerが築き上げたブランド力は、すでに世界中の優秀な人材を惹きつける大きな遺産となっており、その精神はパイトーチという新たな舞台でさらに開花するはずです。
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