格差の拡大や深刻化する気候変動を背景に、従来の資本主義が大きな転換期を迎えています。こうした逆風の中、日本企業は社会とどう向き合うべきなのでしょうか。「哲人経営者」として名高い三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長が、これからの経営指標を鋭く語りました。ネット上では「耳が痛い正論」「日本企業の弱点を突いている」と、多くのビジネスパーソンから共感と反省の声が上がっています。地球規模の危機を前に、企業の存在意義が今まさに試されているのです。
現在の世界は、自国第一主義の台頭やデジタルデータの独占、AI技術の急激な進化など、人類史上最大の変革期にあります。小林氏は、化石燃料の消費による二酸化炭素の排出やプラスチックゴミ問題が、地球そのものを破綻させかねないと警鐘を鳴らしました。単に利益を追い求めるだけでなく、予測困難な時代を生き抜くための新しい経営視点が求められています。SNSでも「環境問題への危機感がリアルに伝わる」といった意見が目立ち、企業の社会的責任への関心の高さが窺えます。
環境や社会を重視する「ESG」への視座
ここで重要となるキーワードが「ESG」です。これは環境(Environment)、社会(Society)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもので、企業の長期的な成長を見極めるための新たな指標を指します。小林氏によれば、世界の株式市場において、このESGを重視した資金の割合は約2割に達しているとのことです。そのため、今後は利益の8割を株主へ還元しつつ、残りの2割は地球環境や顧客、従業員といった利害関係者のために投資するような、バランスの取れた舵取りが理想とされています。
一方で、小林氏は日本企業が伝統としてきた「三方よし」の精神に対し、厳しい現実を突きつけました。三方よしとは「売り手、買い手、世間」のすべてが満足する商売を目指す教えです。しかし、近年の日本企業はこれを、稼ぐ力が低いことの言い訳に使ってきたと指摘します。企業の収益性を示す「ROE(自己資本利益率)」が10%に届かない大企業も多く、従業員のためと言いながら給与は上がらず、会社にお金を溜め込む「内部留保」ばかりが増えているのが実態です。
リスクを取らない日本企業への危機感
さらに、海外の競合に比べて日本の経営者がリスクを取らなくなった現状への反省も語られました。例えば、中国では企業と政府が一体となり、大胆な投資で未来の市場を切り拓いています。それに比べて過去30年間、金融を除く日本企業全体の売上高はほぼ横ばいであり、ただ停滞しているだけと言わざるを得ません。この指摘には、SNS上でも「変化を恐れて投資を怠ってきたツケが回っている」と、現状を憂うビジネスパーソンの声が数多く寄せられています。
三菱ケミカルホールディングスでは、こうした課題に対して「収益」「技術」「社会性」という3つの軸を意識した経営を実践しています。これをスポーツ選手に例えるなら、収益は資金力である「体」、技術は革新を表す「技」、そして社会性は「心」です。心技体が揃って初めて、激しい競争に勝てるアスリートになれるように、企業もこれらのバランスが欠かせません。同社では、利益をしっかり稼ぎ出している事業ほど、温暖化ガス削減などの持続可能性の目標達成度が高いという好循環が生まれています。
私は、小林氏のこの主張に強く賛同いたします。これからの時代、環境や社会に与える影響といった、財務諸表には表れない「非財務情報」を数値化し、世界共通の枠組みで評価していく流れは不可避でしょう。2020年01月07日現在、目先の利益だけに捉われた企業は市場から淘汰されるリスクが高まっています。日本企業が再び国際舞台で輝きを取り戻すためには、形だけの美徳を捨て、真のイノベーションと社会的責任を両立させる覚悟が必要不可欠なのです。
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