2020年01月07日、自民党本部で行われた仕事始めの挨拶において、安倍晋三首相が放った一言が政界に大きな波紋を広げています。首相はことわざを引用しながら「ユズは9年の花盛り。責任を持って大きな花を日本に咲かせたい」と力強く語りました。この「9年」という数字は、2012年の政権再登板から数えて、党総裁の任期満了を迎える2021年09月までを指していることは明らかです。
SNS上ではこの発言に対し、「任期全うへの強い意志を感じる」と支持する声が上がっています。その一方で「これ以上の長期政権は望まない」といった批判的な意見もあり、国民の関心の高さが窺えました。自民党内でも、この発言をきっかけに衆議院の解散時期や首相の4選、あるいは任期途中の退任を巡る様々な臆測が飛び交う事態となっています。首相の真意がどこにあるのか、誰もが探りを入れている状況です。
安倍首相はかつて2015年12月にも同様の表現を使っており、その後に党のルールを変更して長期政権を実現させた経緯があります。今回は「4選は考えていない」と周囲に否定しており、額面通りに受け取れば任期満了での退陣を示唆した形です。岸田文雄政政調会長も会見で、ルールに則り首相が適切に判断するとの認識を示しました。しかし、額面通りに受け取らない動きが党内には根強く残っています。
政界で囁かれているのが、2020年の東京五輪閉幕後に花道を飾るという退陣論です。その背景には、自民党の特殊な総裁選の仕組みが関係しています。通常であれば党員投票が行われますが、任期途中で退陣した場合は国会議員と都道府県連代表のみの「両院議員総会」で後任を選ぶことが可能です。これにより、首相が自分の意中の候補を後継者に指名しやすくなるという戦略的な見立てが消えません。
また、今回の発言は「任期満了まで衆議院を解散しない」というメッセージとも受け取れます。首相が悲願とする「憲法改正」には、国会で発議するために衆議院で3分の2以上の議席を維持し続けることが絶対に欠かせません。現在の安定した議席をあえてリスクに晒さないため、解散を選ばないという選択は十分に合理的です。首相も挨拶の中で、改憲への強い歴史的使命感を改めて強調しました。
その一方で、年内の電撃解散を予想する声も根強く存在しています。首相は同日の新年互礼会で、2020年の干支である「庚子(かのえね)」が関ヶ原の戦いの年と同じであることに触れ、「戦うべき時には戦う」と意味深な決意を述べました。連立を組む公明党の山口那津男代表も年内解散の可能性を否定しておらず、政権が勝負に出るタイミングを虎視眈々と狙っている様子が伝わってきます。
私は、今回の発言は単なる任期満了の宣言ではなく、党内の求心力を維持するための高度な政治的駆け引きであると考えます。明確な後継者が育っていない現状では、退陣の時期を曖昧にしておくことこそが、首相の権力を担保する最大の武器になるからです。国際情勢の緊迫化や憲法改正の進捗次第では、党内から「4選続投」を望む声がさらに強まる可能性も決してゼロではないでしょう。
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