世界経済の勢力図が今、大きな転換期を迎えています。日本経済新聞社が中国の環球時報、韓国の毎日経済新聞と共同で2019年11月28日から2019年12月16日にかけて実施した「日中韓経営者アンケート」の結果から、ビジネスの前線で戦うトップたちのリアルな戦略が見えてきました。SNSでも「ついに国内製造業が見直される時代が来た」「地政学リスクを考えれば当然の動き」といった声が上がっており、多くのビジネスパーソンがこの動向に熱い視線を注いでいます。
注目すべきは、日本と中国における設備投資の「国内回帰」という現象でしょう。2020年に投資を拡大する地域として、中国の経営者の54.3%が、そして日本の経営者も25%以上が自国を1位に挙げました。これは緊迫する米中貿易摩擦や、新興国における人件費の高騰が背景にあります。特に米国による取引制限に直面する中国企業は、自国内で部品を調達・生産する体制、いわゆるサプライチェーン(部品の調達から製造、消費者に届くまでの全プロセスのつながり)の再構築を急いでいる状況です。
日本国内でも、資生堂が2019年12月に栃木県大田原市で36年ぶりとなる新工場を始動させ、約350億円を投じるなど強気な動きを見せています。さらに2020年には大阪府茨木市でも新工場の稼働を控えており、コーセーやオンワードなどもこれに続いています。これは「メード・イン・ジャパン」というブランド力への高い信頼があるからに他なりません。インバウンド需要やインターネットを通じた越境ECの普及が、国内生産でも十分に海外へアプローチできる環境を後押ししているのです。
一方、新たな市場として圧倒的な存在感を放っているのが東南アジアです。2020年の有望な販売先として、日本企業の41.9%、韓国企業の49.6%がこの地域を選び、トップとなりました。6億人を超える巨大な人口を抱え、中間所得層が急速に拡大している東南アジアは、単なる生産拠点から魅力的な巨大消費市場へと脱皮を遂げています。多くの企業が中国一極集中から脱却し、地政学的なリスクを分散させる戦略をとっていることが窺えます。
岐路に立つ日中韓の協力と韓国企業の焦燥感
これまで3カ国の関係は、日韓の優れた技術を中国に持ち込んで大量生産するというモデルが主流でした。しかし、中国がハイテク分野で急成長したことにより、そのパワーバランスは変化しつつあります。だからこそ、関税や障壁をなくす日中韓自由貿易協定(FTA)の締結を急ぐべきだと私は考えます。経済的な結びつきを深めて障壁を取り除くことこそが、激動の世界情勢の中で3カ国が共に生き残るための最善の道だからです。
その一方で、厳しい現実に直面しているのが韓国企業です。中国への輸出依存度が高い韓国は、米中対立の余波をまともに受けています。さらに、国内の厳しい規制が足かせとなり、革新的なビジネスモデルを生み出しにくいという構造的な課題も浮き彫りになりました。世界的なスマート企業50社に韓国企業が選ばれない状況が続く一方、中国企業は着実にその数を増やしており、先進的なイノベーションの現場における焦燥感が伝わってきます。
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