地域経済を支える地方の企業において、働く人々の労働条件改善に向けた法的なボトムラインである「最低賃金」の改定は、極めて関心の高いテーマです。2020年01月08日、愛媛県内のビジネスシーンに大きな衝撃を与える調査結果が明らかになりました。いよぎん地域経済研究センター(松山市)が実施した最新のアンケートによりますと、県内に拠点を置く企業の約7割が、最低賃金の引き上げによって経営に何らかの影響を被っていると回答したのです。
今回の調査は2019年09月に実施され、地元の298社から貴重な本音が寄せられました。2019年度の愛媛県における最低賃金は、前年度から26円引き上げられて時給790円に改定されています。一見すると数十円の変動に思えるかもしれませんが、企業にとっては毎月の固定費を大きく押し上げる要因となり得るのです。SNS上でも「地方の企業にとってこの引き上げ幅は死活問題」「人件費が増える分、利益が削られるのは辛い」といった、経営側の悲鳴に近いリアルな声が多数飛び交っています。
具体的な影響についての複数回答では、全体の48.5%が「人件費の増加に伴う採算性の悪化」を挙げており、トップとなりました。さらに、44.1%の企業が「求人募集賃金の上昇」に頭を悩ませている状況です。これは、新しく人を雇う際のスタートラインとなる金額自体を引き上げざるを得ず、結果として既存社員との給与バランスの調整にも波及していることを示唆しています。同センターも、企業の経営基盤や人事戦略に対して直接的なダメージを与えていると分析しました。
影響は社内だけに留まりません。外注先や仕入れ先から、人件費高騰を理由とした値上げを要請されたと回答した企業が20.9%に達しています。また、20.5%の企業では、いわゆる「年収の壁」と呼ばれる所得制限を意識したパートタイマーらが、勤務日数や労働時間を抑制する動きを見せているのです。働きたいのに働けない、雇いたいのにシフトを削らざるを得ないという、現代の労働市場が抱える特有のジレンマが、愛媛の現場でも顕著に現れていると言えるでしょう。
引き上げへの実際の対応としては、すでに基準をクリアしているため「引き上げない」とする企業が51.9%で過半数を占めました。その一方で、基準を下回るため「引き上げる」と答えた企業は31.6%に上っています。この事実に直面し、多くの経営者がただ手をこまねいているわけではありません。これまでに講じた対策として、41.0%の企業が「残業時間の削減」に注力し、29.2%が「事務作業のスリム化・効率化」を進め、22.4%が「コスト構造全般の見直し」に着手しています。
ここで注目すべきは、最低賃金の上昇を単なる負担増と捉えるか、あるいは組織変革の契機と捉えるかという視点です。専門用語である「生産性」とは、投入した労働力や時間に対してどれだけの成果や価値を生み出せたかという指標を意味します。同センターは、この局面を「従来の業務を見直し、ビジネスモデルを転換するチャンス」と捉えており、付加価値を高める機運が県内全体で高まることに強い期待を寄せています。
私個人の見解といたしましては、この厳しい状況こそが地方企業のデジタルトランスフォーメーションや、無駄なプロセスの徹底的な排除を加速させる最大の起爆剤になると確信しております。単に労働時間を削るだけの縮小均衡に陥るのではなく、ITツールの導入などによって業務の無駄を省き、限られた時間で最大の利益を生み出す構造へのシフトが不可欠です。ピンチをチャンスに変え、より強固な経営体質へと生まれ変わる愛媛の企業の底力に、今後も注目していきたいところです。
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