NTTドコモが仕掛ける「1ギガの壁」突破戦略!5G時代を見据えた驚きの業績回復シナリオとは?

携帯電話キャリア最大手のNTTドコモが、大きな転換期を迎えています。2019年6月に実施した大胆な通信料金の値下げにより、2020年3月期の営業利益は5年ぶりの減益となる見通しです。この値下げは、数年かけて最大で年間4000億円もの減益要因になると試算されています。しかし、吉沢和弘社長は「今期が利益の底となる」と力強く宣言しました。ネット上でも「ドコモの減益は織り込み済み」「ここからの巻き返しに期待」といった声が上がっており、その反転攻勢の行方に熱い視線が注がれています。

ドコモが掲げる復活へのキーワード、それが「アップセル」です。これはマーケティングの専門用語で、既存の顧客により上位のプランや高額な商品を選んでもらい、顧客1人あたりの売上を高める戦略を指します。携帯ビジネスにおいては「ARPU(1契約あたりの月間平均収入)」を向上させることがこれに該当します。2019年9月末時点のドコモのARPUは4240円と前年同期比で3%減少しており、契約者数も5000万人台で頭打ちのため、収益を伸ばすにはデータ通信量をいかに増やしてもらうかが勝負となります。

そこでドコモが目をつけたのが「1ギガの壁」です。現在、スマートフォン契約の約4割を占めるのが、月々のデータ通信量が1ギガバイト以下のライトユーザー層となっています。以前のプランでは上限に達すると速度制限がかかるだけでしたが、新料金プラン「ギガライト」では、使った分だけ料金が上がる「従量課金制」を導入しました。これにより、ライトユーザーに動画などのリッチコンテンツを楽しんでもらい、自然と上の容量へとステップアップしてもらう仕組みを整えたのです。これが来期の大きな増益要因として期待されています。

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アマゾンやディズニーとタッグ!5G時代を見据えた驚きの囲い込み施策

ユーザーにデータ通信をより多く使ってもらうため、ドコモは「サービスと通信料金の融合」という驚きの布石を打って出ました。なんと米アマゾン・ドット・コムの日本法人と提携し、新プランの契約者に対して「アマゾンプライム」を1年間無償で提供するというのです。映画の視聴や配送料の手間が省けるこの特典は、費用こそドコモが負担しますが、顧客の解約を防ぎ、データ通信量を一気に押し上げる強力な呼び水となります。SNSでも「ドコモの本気が凄い」「プライム会員だからドコモに乗り換えたい」と大反響を呼んでいます。

さらに、2020年にいよいよ商用サービスが開始される次世代通信規格「5G」を睨み、米ウォルト・ディズニーの日本法人との協業も強化しています。5Gの特徴である超高速・大容量の通信を活かすには、魅力的な動画コンテンツが不可欠だからです。専門機関の予測によると、2019年には世界で月平均7.2ギガバイトだったスマホ1台あたりの通信量が、2025年には約3倍の24ギガバイトに膨らむとされています。ドコモは強力なコンテンツを武器に、ユーザーを大容量プランへ導く戦略を全速力で進めています。

こうした通信分野での攻勢に加えて、非通信分野である「スマートライフ領域」の成長も目を見張るものがあります。クレジットカードの「dカード」を中核とした金融・決済サービスが非常に好調で、2020年3月期の同領域の営業利益は前期比9%増の1600億円に達する見込みです。ドコモは通信会社から、生活のあらゆる場面を支える総合プラットフォーム企業へと見事に脱皮しつつあります。強力な顧客基盤を武器にしたこの二段構えの戦略こそが、ドコモの自信の源泉と言えるでしょう。

ただ、今後の市場環境が決して楽観視できるわけではありません。2020年は楽天が携帯キャリア事業に本格参入するため、再び激しい値下げ競争が勃発するのではないかという懸念も浮上しています。また、株式市場ではドコモの業績回復をすでに織り込みつつあり、株価も過去の高値圏に迫っていますが、割安感を示す指標であるPER(株価収益率)は競合のKDDIやソフトバンクより高くなっています。そのため、投資家からは「ここからの買いは慎重に見極めるべき」というシビアな声も聞かれます。

筆者の視点としては、ドコモの今回の戦略は、単なる通信料金の叩き合いから脱却するための極めて賢明な一手だと評価しています。アマゾンやディズニーといった世界的なブランドと手を組み、日常のエンタメ体験と通信を一体化させたことは、ユーザーが自発的に「もっとデータを使いたい」と思わせる素晴らしい動機付けになります。楽天の参入による市場の激化は避けられませんが、国内最大の顧客基盤と非通信領域の安定した収益力を持つドコモが、5Gという新時代をリードする可能性は非常に高いと考えています。

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