山形県上山市で、増え続ける空き家や空き地の問題を解決するための画期的な取り組みが、大きな注目を集めています。市や不動産業界などが連携して2019年6月に設立したNPO法人「かみのやまランドバンク」を中心に、官民が一体となった先進的な対策が次々と打ち出されているのです。
特に注目されているのが、単独では活用が難しい土地を集約して再生する「ランドバンク事業」です。土地の価値を高めて次の世代へつなぐこの試みは、SNSでも「地方都市の希望の星」「自分の地元でも取り入れてほしい」と、大きな反響を呼んでいます。
空き店舗がチャレンジショップに!街の賑わいを取り戻すマルシェとの連動
2020年からは、これまでの住宅地に加え、中心市街地の空き店舗や後継者不足に悩む工場の跡地利用にも対象を広げています。中心市街地にある商業ビル「二日町プラザ」などの空きテナントを活用し、新たな賑わいを生み出す計画が動き出しました。
同法人は、市内の空き地に芝生を敷き詰めた「ワクワク広場」を整備し、農産物や雑貨を販売するマルシェ(市場)を定期的に開催しています。今後は空き店舗にこれら出店者の商品を並べるコーナーを設け、将来的な実店舗のオープンを促す予定です。
スモールステップで出店に挑戦できる仕組みは、移住者や若者にとっても魅力的な選択肢になるでしょう。単に建物を埋めるだけでなく、挑戦者を育てる仕組みづくりが、これからの地域活性化には不可欠であると私は確信しています。
ワイナリーの貯蔵庫へ再生!「施設承継バンク」が描くワイン特区の未来
さらに面白い試みが、郊外の廃業工場を再利用する「施設承継バンク」の構想です。上山市の郊外には、原則として新たな開発が規制されている「市街化調整区域」が広がっており、廃業した工場がそのまま放置されて廃墟化するリスクを抱えていました。
そこで市が目をつけたのが、自身が推進する「ワイン特区」との融合です。ワイン特区とは、規制を緩和して小規模なワイナリーでも新規参入しやすくした国の制度のことで、上山市でも開業を希望する人が後を絶ちません。
放置される恐れがあった工場跡地を、新しいワイナリーの貯蔵庫などに転用できれば、参入者は初期費用を劇的に抑えられます。地域の課題だった負の遺産を、魅力的な観光資源や産業へと転換する見事なアイデアだと感銘を受けました。
トラブルを未然に防ぐ!老人ホーム入所時からの「住み替えバンク」
また、単身の高齢者が暮らす物件を事前登録し、将来的に若い世代へ引き継ぐ「住み替えバンク」も2019年7月から始まっています。2019年12月24日には市と山形県老人福祉施設協議会が協定を結び、さらに体制が強化されました。
高齢者が老人ホームへ入所する段階で、この住み替えバンクへの登録を促す仕組みです。所有者が亡くなった後に発生しがちな相続トラブルを未然に防ぎ、物件がスムーズに次世代へ循環する効果が期待されています。
少子高齢化が進む日本において、上山市の取り組みはまさに先進モデルです。不動産を「お荷物」にせず、地域の財産として循環させるシステムは、全国の自治体が今すぐ模倣すべき素晴らしい挑戦だと言えるでしょう。
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