新しい挑戦や事業拡大のアクセルを強く踏み込むとき、その道を極めた「プロフェッショナル」の存在はこれ以上ないほど心強いものです。少子高齢化や市場の縮小に直面する現代において、従来のやり方に囚われない外部人材、いわゆる「アウトサイダー」を招き入れて大改革に挑む動きが注目を集めています。
ネット上でも「生え抜きだけでは気づけない盲点を突いてくれる」「変化を恐れない突破力が今の日本企業には必要だ」といった、外部人材の登用に期待する声が数多く上がっています。米菓最大手として知られる亀田製菓も、まさにそんな革新の最中にいる大企業の一つでしょう。
同社は新潟県外から異業種で活躍してきた優秀な人材を積極的に採用し、経営戦略や海外部門の要職へ登用しています。単なる伝統的なお菓子メーカーから、世界で戦える「グローバル・フード・カンパニー」へと生まれ変わるため、経験豊富な人材の知見をフルに活用しているのです。
世界の「亀田」へ!異色キャリアのプロが挑む意識改革
亀田製菓が世界に挑む本気度は、幹部たちの顔ぶれからも伝わってきます。2019年9月に本社の経営企画部シニアマネージャーとして外部から招かれたのは、インド出身のアショク・アシタ氏です。同氏は日本の大学へ留学後に英会話講師を経て、23歳でトヨタ自動車に入社しました。
その後も日立インドやミネベアミツミのインド法人などで世界を舞台に活躍し、グローバルビジネスの最前線を渡り歩いてきた経歴の持ち主です。亀田製菓はアメリカやタイ、中国などに拠点を持ちますが、売上高1000億円のうち海外事業が占める比率はまだ7%程度にとどまります。
規模としてはこれまでの在籍企業より小さいものの、アシタ氏は「伸び代が非常に大きく、やりがいがある」と確信して転職を決意しました。同氏に課された使命は、世界中の現地スタッフと日本の本社との間で、組織に対する帰属意識や経営ビジョンをしっかりと共有することです。
世界標準の視点で見ると、海外の従業員はまだ「亀田グループの一員」という意識が薄いのが現状のようです。そこでアシタ氏は、社内報の英訳や世界地図の掲示といった身近な改革から着手し、一体感を高めることで離職率の低下や製造ノウハウの効率的な共有を目指しています。
ただ海外に投資をするだけでなく、働く人々のマインドを切り替える「ギアチェンジ」こそが、真の国際化には不可欠だと言えます。画一的な文化に新しい風を吹き込むアシタ氏の挑戦は、硬直化した多くの日本企業にとって素晴らしい起爆剤になるのではないでしょうか。
常連の反発を乗り越えて!日帰り温泉を蘇らせる再生のプロ
プロの視点による大胆な改革は、ときに現場や既存の顧客から激しい逆風を受けることもあります。新潟市で日帰り温泉施設の再建を手掛ける関越サービスの小川和宣社長は、「良くなる自信があっても、周囲に納得してもらうには時間がかかる」と、変革の難しさを語ります。
実際に小川社長が2017年に再建を手掛けた温泉施設では、高齢の常連客の減少を食い止めるため、ファミリー層をターゲットにした大改装に踏み切りました。大広間の長机をなくしてハンモックや図書室を新設したところ、当初は常連客から「くつろげない」と大猛反発を受けたそうです。
しかし、諦めずにアヒル風呂などのユニークなイベントを続けた結果、狙い通りに若い世代や親子連れの新規顧客が急増しました。館内が活気に溢れると、一度は足が遠のいた常連客も戻り、2018年度には過去最高の入館者数を記録するほどの大成功を収めています。
この手腕を買われ、小川社長は2019年10月末から新たな赤字温泉施設「じょんのび館」の再建を引き受けました。現在は全従業員を集めて徹底的な問題点の洗い出しを進めており、全員で危機感を共有しながら、フロントや食堂の劇的なリニューアルを計画しています。
こうした事例から分かるように、これまでの新潟県内では外部の知見を頼る動きが少なめでした。地元だけの需要で一定の成長ができていたからですが、人口減少による市場縮小が進む今、これまでの成功体験を捨てて新しい視点を受け入れる覚悟が問われています。
これからの時代は、企業側も選ばれる努力をし、挑戦できる環境や働きやすい職場を整えなければ優秀な人材は集まりません。伝統を守りつつも、外部のプロの突破力を信じて自らを磨き続ける姿勢こそが、企業の輝かしい未来を切り拓く唯一の鍵になるはずです。
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