ビジネスを取り巻く環境に、少しずつ変化の波が押し寄せています。東京商工リサーチ千葉支店が発表した最新のデータによると、2019年における千葉県内の企業倒産件数は262件に達しました。この数字は2018年と比較すると6件、率にして2%の微増ではありますが、2年連続で前年を上回る結果となっています。一見すると大きなパニックには見えないものの、静かに、そして確実に経営難の波が広がっている兆候と言えるでしょう。
この現状に対してSNS上では、身近な店舗の閉店を悲しむ声や、人手不足による経営悪化を心配する声が相次いでいます。「景気が良いのは一部の大企業だけではないか」といった、地方経済のリアルな冷え込みを肌で感じるビジネスパーソンからの切実な書き込みも目立ちました。数字以上に、現場が抱える危機感は強いようです。
さらに、企業が抱えた借金の総額を示す「負債総額」についても、前年比11%増の326億1500万円と、こちらも2年連続で膨らんでいます。幸いにも、100億円を超えるような超大型の倒産は発生していません。しかし、全体的な底上げがなされている背景には、経営体力が限界に近づいている中小企業がそれだけ多いという事実が隠されているのです。
サービス業と建設業が直面する、コスト高騰と個人消費の低迷
業種別の内訳に目を向けると、最も苦境に立たされているのが「サービス業他」の64件で、全体の約4分の1を占める結果となりました。3年連続で最多を記録しており、消費者が生活に必須ではない支出を抑える傾向や、働く人の確保に必要な「人件費の高止まり」が大きな壁となっています。売り上げが伸びない一方で固定費だけが重くのしかかるという、非常に苦しい構造が見えてきます。
サービス業に次いで多かったのが、59件を記録した建設業です。こちらも人手不足に伴う労務費の上昇や、資材価格の高騰が利益を圧迫していると考えられます。こうした特定の業界に偏った倒産の増加は、私たちの日常生活や地域インフラの維持にも直結しかねない、極めて深刻な問題ではないでしょうか。
また、今回の調査で特に注目すべきは、倒産した企業のうち実に66%が「従業員5人未満」の小規模企業だったという点です。経営体力が脆弱な会社ほど、環境の変化に対応できずに市場から退場を余儀なくされています。その結果、職場を失った従業員被害者数は1410人にのぼり、前年から226人も増加してしまいました。
今後の見通しと、これからの時代を生き抜くための戦略
2019年12月単月のデータを見ても、倒産件数は前年同月比5件増の24件、負債総額は倍増の22億6000万円となっており、足元の冷え込みは厳しさを増すばかりです。今後の見通しについて同支店は、金融機関が企業の将来性や事業そのものの価値を評価して融資を決める「事業性評価」を厳格化していくと分析しています。
ここでいう事業性評価とは、過去の財務データや担保だけに頼らず、その企業が持つ技術力やビジネスモデルの将来性を見極める仕組みのことです。つまり、これからは「ただ歴史があるから」「担保があるから」という理由だけでは、お金を貸してもらえなくなる時代がやってくることを意味しています。金融機関側も取引先の経営悪化を警戒し、不測の事態に備える費用を積み増しているのが現状です。
編集部としては、この「支援の枠から漏れる企業の増加」という予測に対し、強い危機感を抱かざるを得ません。国や銀行の手厚いサポートに頼り切る経営ではなく、今こそ自社の強みを再定義し、業務のデジタル化や効率化を急ぐ必要があると考えます。激動の時代を生き抜くための、ドラスティックな意識改革が求められているのでしょう。
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