ウインタースポーツの聖地として知られる長野県から、非常に寂しいニュースが飛び込んできました。長野市開発公社が運営する「飯綱高原スキー場」が、2020年3月中旬を目処にその歴史に幕を閉じることが決定したのです。かつて多くの人々で賑わったゲレンデが消えてしまう事実に、時代の変化を感じざるを得ません。市は経営改善のために民間への事業譲渡を模索していましたが、残念ながら譲渡先が見つからず、今回の苦渋の決断に至りました。
飯綱高原スキー場は1998年の長野五輪でも会場近くとして活気に沸きましたが、近年の状況は過酷そのものでした。直近の2018年度の利用者数は約2万9000人にまで落ち込んでおり、これは1980年代のピーク時と比較するとなんと9割減という衝撃的な数字です。暖冬による深刻な雪不足と、全国的なスキー人口の減少がダブルパンチとなり、直近の業績は税引き前利益で400万円の赤字を計上していました。
SNS上ではこの発表を受け、「学生時代に通った思い出の場所がなくなるのは悲しい」「近年の雪のなさを考えれば仕方のない現実なのかもしれない」といった、惜しむ声や時代の流れを受け止めるファンの声が多数寄せられています。最終営業日は2020年3月15日を予定していますが、今シーズンの深刻な積雪不足がさらに悪化すれば、予定日を待たずに前倒しで閉鎖される可能性もあるため、ファンからは営業状況を心配する声も上がっています。
莫大な撤去費用とこれからの地方スキー場が歩むべき道
この閉鎖に伴い、長野市はリフトなどの施設を解体した上で植林を行い、ゲレンデの跡地を国へ返却する方針を示しています。実はスキー場の敷地の大半が「国有地(国が所有する土地)」であるため、元の自然な姿に戻す義務があるのです。このリフト撤去や緑化のための費用は、総額で約3億2000万円にものぼる見込みであり、自治体や公社にとって閉鎖後も大きな財政的負担がのしかかることになります。
地元では2016年に「飯綱高原観光施設活用検討会」を発足させ、2018年には民間譲渡の方向性を固めて不測の事態に備えていました。そして2019年11月中旬から12月末まで事業者の公募を実施したものの、手を挙げる企業は現れませんでした。暖冬リスクを抱えるスキー場ビジネスの難しさが、浮き彫りになった格好です。
私は今回の件について、単なる一スキー場の閉鎖に留まらない、日本の観光業全体の構造転換のシグナルだと捉えています。地球温暖化による雪不足は今後も避けられない以上、冬のスキーだけに頼る「一毛作」の経営は限界を迎えています。これからの地方ゲレンデは、夏場にマウンテンバイクやキャンプを楽しめるマウンテンリゾートへと変貌を遂げるなど、年間を通じて集客できる知恵と工夫が必須になるでしょう。
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