三菱ケミカルが進める素材革命!循環経済とデジタル投資で切り拓く未来への成長戦略

世界経済の減速が化学業界に暗い影を落とす中、三菱ケミカルホールディングスの越智仁社長が力強いビジョンを語りました。米中貿易摩擦の長期化に伴い、中国市場での投資や消費が大きく抑制されている現状があります。実際にスマートフォンや半導体の生産調整が響き、同社の主力製品であるアクリル樹脂原料(MMA)のアジア市場価格は、2018年夏の最高値から約4割も下落しました。この厳しい状況は2020年春頃まで継続すると見込まれており、業界全体に緊張感が漂っています。

この逆風に対し、ネット上では「大企業の舵取りに注目が集まる」「素材の変化が最終製品を変える」といった、変革を期待する声が多数寄せられています。越智社長は市場の低迷を打破するため、付加価値の高い機能材料の開拓に注力する方針を示しました。特に注目されるのが、3Dプリンター向けの特殊樹脂です。これは紫外線を照射することで瞬時に硬化する性質を持ち、製造業のものづくりを劇的に効率化させる可能性を秘めています。企業の開発基盤も最先端へと進化を遂げています。

同社は人工知能(AI)の活用にとどまらず、量子コンピューターの導入検討も開始しました。こうしたデジタル技術を用いて素材開発を効率化する手法は「マテリアルズインフォマティクス」と呼ばれ、世界的なトレンドとなっています。私は、日本の製造業が国際競争で生き残るためには、こうした最新ITへの投資が不可欠だと確信しています。さらに、2020年6月頃からは、生産効率化や販売データを活用した設備投資が日中両国で活発化する見通しです。

これに伴い、半導体やロボット向けの電子材料需要を確実に取り込むことが重要になります。また、2020年から本格的に普及が始まる次世代通信規格「5G」への対応も急務です。超高速で大容量の通信を行う5G環境下では、電気信号が弱まってしまう「誘電損失」という現象が課題となります。三菱ケミカルはこの損失を抑える特殊な樹脂の開発を急いでおり、最先端のソフトウェア企業や新興企業との協業を強化することで、新たな市場を開拓しようとしています。

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環境問題への挑戦とグループ再編による新時代への布石

現代の製造業において、環境への配慮は避けて通れない最重要課題です。越智社長は、資源を循環させ続ける「サーキュラーエコノミー(循環経済)」の実現を喫緊のミッションとして掲げました。従来の素材開発は機能性の追求が中心でしたが、これからは使用した後のリサイクルのしやすさをあらかじめ計算して設計する革新が必要となります。例えば、これまで気密性を守るために複数の素材を重ねていた食品フィルムを、単一の素材で代替する技術に挑んでいます。

私は、こうした環境配慮と高機能を両立させるアプローチこそが、これからの素材メーカーの新たなブランド価値になると確信しています。2019年4月には中核子会社に「新事業創出部」を新設し、自動運転の先にある空飛ぶクルマや立体的な次世代ディスプレイといった未来の社会を予測した素材提案を進めています。さらに、2020年2月までに10年後を見据えた長期ビジョンの製品群を選定し、同年10月までに具体的な行動計画を固めるという初の試みも進行中です。

グループの技術基盤を盤石にするため、上場子会社である田辺三菱製薬の完全子会社化にも踏み切りました。狙いは、同社が持つバイオ関連の研究能力の吸収です。これにより、独自の再生医療製品である「ミューズ細胞」の実用化を加速させます。ここで培われる遺伝子操作技術は、医薬品だけでなく新しい機能を持つ素材開発にも応用が可能です。日本の化学業界では、昭和電工による日立化成の巨額買収など、生き残りをかけた合従連衡が急速に進んでいます。

これまで国内の化学企業は独自の高い技術力に頼り、再編が遅れる傾向にありました。しかし、欧米や中国の大手メーカーがデジタル技術を駆使して台頭する今、巨大IT企業からの厳しい要求に応えるためには、規模と技術の融合が不可欠です。三菱ケミカルが挑むバイオと素材の融合やデジタルトランスフォーメーションは、停滞する日本産業界に刺激を与える先駆的なモデルケースとなるでしょう。これからの同社の革新から目が離せません。

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