空き家が極上の宿に?日経MJ最優秀賞の「セカイホテル(SEKAI HOTEL)」が仕掛ける地方創生の新しいカタチ

旅行の醍醐味といえば、その土地ならではの文化や日常に触れることですよね。今、そんな旅の本質を体験できる画期的なホテルが、ビジネス界で大きな注目を集めています。2020年1月6日に発表された「日経優秀製品・サービス賞」において、日経MJ最優秀賞を受賞した「セカイホテル(SEKAI HOTEL)」です。これは単に新しい宿泊施設が誕生したというニュースに留まらず、日本の地方が抱える深刻な課題に対する、一つの鮮やかな解決策を提示してくれています。

このホテルが提案するのは、街中に点在している空き家をリノベーションし、地域全体を一つの大きな宿として見立てる「分散型ホテル」という最先端のスタイルです。一般的なホテルのように一つの建物の中にすべての設備を詰め込むのではなく、フロントや客室、食堂、そしてお風呂といった機能を、地域の商店街や銭湯などの既存の施設に分散させます。受付を済ませたゲストは、まるでその街の住民になったかのような感覚で、居酒屋へ出かけたり銭湯に浸かったりして過ごす仕組みです。

旅行者には、地域提携店で素敵な特典や割引が受けられる「セカイパス」という専用の通行手形が配られます。これがあることで、普段なら少し入りにくい地元のディープな名店にも、気軽に暖簾をくぐることができるでしょう。SNS上でも「観光地化されていない、リアルな日本の日常に溶け込めるのが最高」「地元の人との温かい交流が生まれて感動した」といった声が続々と上がっており、新しい旅のスタイルとして若者や外国人観光客を中心に反響を呼んでいます。

現在は、2017年にオープンした大阪市の西九条と、東大阪市の布施の2拠点で運営されています。客室の内装には東大阪の町工場が誇るものづくりの技術を取り入れるなど、空間そのものが地域の文化を伝えるメディアとなっている点も見事です。さらに、2020年春には富山県高岡市を皮切りにフランチャイズ(FC)での全国展開を開始する予定となっており、これは本部が持つ商標や運営ノウハウを各地の事業者に提供して拡大する手法で、20拠点への展開を目指しています。

個人的に、このビジネスモデルは日本の観光業の未来を明るく照らす一石だと確信しています。日本中で深刻化する空き家問題を、単なるお荷物ではなく貴重な観光資源へと見事に転換させているからです。有名観光地だけでなく、何気ない地方の商店街に光を当てて経済を循環させる試みは、真の地方創生と言えるでしょう。時期によって変動はありますが、相部屋タイプなら3500円からと非常にリーズナブルな価格設定も、多くの人が地域に足を運ぶ強力な後押しとなるはずです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました