ミレニアル世代が起こすイノベーション!日本企業に今すぐ必要な「カーブアウト」と「スピンイン戦略」とは?

世界中で今、若きリーダーたちが次々と誕生して新風を吹き込んでいます。フィンランドでは2019年12月に34歳のサンナ・マリン氏が首相に就任して世界を驚かせましたが、主要閣僚にも30代の女性たちが名を連ねています。さらにオーストリアでは33歳のクルツ首相が誕生し、フランスのマクロン大統領も39歳という若さで国家の舵取りを担うことになりました。時代が大きく動く転換期だからこそ、新しい感性を持つ若い世代への大胆な交代が世界規模で求められているのでしょう。

このような変化の波は政治の世界だけでなく、グローバル企業にも確実に押し寄せています。例えば、ドイツに本拠地を置く世界的なIT大手のSAPでは、最高経営責任者(CEO)が38歳、最高技術責任者(CTO)が36歳という若さです。彼らは1980年代から2000年代初頭に生まれた「ミレニアル世代」と呼ばれ、幼少期からインターネットが身近にあったデジタルネイティブです。デジタルを空気のように当たり前の存在として育った彼らが、DXを牽引するのは当然の流れだと言えます。

SNS上でも「若いリーダーの決断力や柔軟性を見習うべきだ」といった声が多く、世代交代への関心の高さが伺えます。しかし、日本企業における若手の登用スピードは、世界の潮流から遅れているのが現状ではないでしょうか。国内の大企業では、40歳以下の優秀な人材であっても課長クラスに留まるケースが大半を占めています。デジタル変革やイノベーションの最前線を率いるリーダーとして活躍してもらうには、現在の昇進ペースではあまりにも遅すぎると危機感を抱かざるを得ません。

ここで注目したいのが「新しい酒は新しい皮袋に盛れ」という格言です。ミレニアル世代の斬新なアイデアや機動力を活かすためには、古い組織に縛り付けるのではなく、入社直後から新しい事業に挑戦できる独立した環境を与えるべきです。その具体的な手法として有効なのが、社内の事業や優秀な人材を組織ごと切り離して独立したベンチャー企業を立ち上げる「カーブアウト」です。伝統的な企業文化から離れることで、事業の可能性をより広い視点で見極められます。

こうして社外の厳しい環境で磨かれ、大きく成長した事業や組織を、再び親会社へと取り込む手法を「スピンイン戦略」と呼びます。大企業の中に埋もれている素晴らしい技術や原石のような人材を一度外に出し、企業の戦略に見合う規模に育った段階で本体に統合するアプローチです。自社内だけで新規事業を興すのが難しい場合は、スタートアップの立ち上げや育成を総合的に支援してくれるプロフェッショナルなインキュベーション企業に伴走してもらうのが賢明な選択肢となります。

例えば東京に拠点を置くQuantum社は、大企業からのカーブアウト型ベンチャーの設立を支援する注目の企業です。まるで映画制作スタジオのように、事業創出に必要な戦略アドバイザーや優秀なエンジニアを揃え、クライアント企業の人材と共同チームを結成して新規事業を開発しています。このように外部の専門知識やスピード感を融合させることで、大企業の中に眠っていたポテンシャルが刺激され、世界のスピード感に対抗できる革新的なビジネスが生まれやすくなるのです。

また、自社発の事業を切り出すだけでなく、外部の有望なスタートアップと深く協業し、成長した段階でM&Aを行うスピンインの形も注目を集めています。伝統的に自社開発へのこだわりが強かった本田技術研究所が、2019年10月にスマートフォン向けアプリを開発する米ドライブモード社を買収したニュースは、業界内に大きな衝撃を与えました。長年培った自前主義の殻を破り、外部のデジタル技術を取り込もうとする姿勢は、今後の日本企業が進むべき道を示していると言えます。

ミレニアル世代という革新的な「新しい酒」は、既存の古い組織ではなく、カーブアウトや独立スタートアップという「新しい皮袋」に盛ることで真価を発揮するでしょう。変革が求められる2020年代の10年間において、若手を主役に据えた組織づくりに挑戦し続けることが最重要課題です。日本を代表するような大企業のトップに30代の若者が就任し、これまでにないスピード感で世界市場を席巻する未来は、私たちの決断次第で決して夢物語ではなくなるはずです。

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