世界中が固唾をのんで見守ってきた激しい経済戦争が、ついに大きな節目を迎えました。アメリカと中国の間で2018年7月から1年以上にわたって繰り広げられてきた関税の応酬ですが、2020年1月15日に両国が「第1段階の合意」に達する見通しです。このニュースに対してSNS上では、「ようやく世界経済が落ち着くのか」「今後の株価への影響が気になる」といった安堵や期待の声が数多く寄せられています。長引く対立に疲弊していた市場にとって、今回の合意はまさに待望の瞬間と言えるでしょう。
事の発端は、アメリカが中国による知的財産権の侵害に対して制裁措置を発動したことでした。知的財産権とは、人間の知的な創作活動から生まれたアイデアや技術を守るための法的権利のことです。アメリカは2018年7月に第1弾として、産業機械など340億ドル相当の中国製品に25%の追加関税を課しました。これに対して中国も大豆などのアメリカ製品に同規模の報復関税をかける形で対抗し、泥沼の戦いが幕を開けたのです。
その後も両国の勢いは止まらず、2018年8月の第2弾では半導体や古紙が対象となり、同年9月の第3弾では家具や家電にまで火の粉が広がりました。さらに2019年9月には、衣料品などを含む約1100億ドル相当に15%の関税が上乗せされる第4弾へと突入しています。このように生活に身近な品物へ影響が及ぶにつれ、世界的な景気減速への懸念が急速に高まっていきました。
しかし、ここへ来て劇的な変化が訪れます。2019年12月にアメリカが予定していた追加関税の発動を見送り、2019年9月に課した15%の関税も7.5%へと半減させる見込みとなったのです。この急接近の裏には、2020年11月に控える大統領選挙に向けて経済の安定をアピールしたいトランプ大統領と、関税の打撃で国内経済の失速を恐れる習近平指導部の思惑が一致したという背景が存在します。
筆者は、今回の合意を両国の「一時的な休戦」に過ぎないと捉えています。依然として高水準の関税が残されている上、ハイテク分野における覇権争いなどの根本的な問題は解決していません。しかし、対話によって最悪のシナリオを回避したことは、グローバル社会において極めて大きな意義があると感じます。今後は、この合意がどれほど実効性を持つのかを注視していく必要があるのではないでしょうか。
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