日本国内でのカジノを含む統合型リゾート、通称「IR」の参入を巡る贈収賄事件が新たな局面を迎えています。衆院議員の秋元司容疑者が、政府の担当部局に対してIRの設置区域数に関して「柔軟に対応した方がいい」と働きかけていたことが、2020年01月14日に関係者への取材で明らかになりました。誘致への参入を狙う中国企業側は、自社が選ばれやすくなるよう区域数の拡大を求めていたとみられています。東京地検特捜部は、秋元議員が権限を利用して企業側に便宜を図ろうとした可能性が高いとみて、慎重に捜査を進めている模様です。
この事件についてSNS上では、「日本の未来を決めるリゾート開発が、海外企業の現金で歪められていたとしたら許せない」「政治とカジノの距離感が不透明すぎる」といった怒りや不安の声が続出しています。政策の根幹が特定の企業によって左右されていたかもしれないという疑惑は、国民の間で極めて大きな関心事となっているのです。そもそもIRとは、国際会議場やホテル、そしてカジノが一変に整備された複合施設であり、国全体の観光立国化に向けた目玉政策として注目されていました。それだけに、今回の汚職疑惑が与えた衝撃は計り知れません。
東京地検特捜部は2020年01月14日、中国企業「500ドットコム」側から約350万円相当の賄賂を受け取ったとして、秋元議員を収賄の容疑で再逮捕いたしました。これで1回目の逮捕容疑と合わせた不正な資金の総額は、約720万円相当にまで膨らんだ計算になります。また、これに伴い同社の日本法人元役員や元顧問ら3名も、現金を渡した贈賄の容疑で再逮捕されました。容疑によると、秋元議員が内閣府副大臣としてIR担当を務めていた2017年09月、自身が管理する口座に現金200万円の入金を受けたとのことです。
さらに2017年12月には、中国の深センやマカオへの視察旅行にかかった費用、約150万円を同社側に負担させた疑いも持たれています。一方で、秋元議員の弁護人によると、本人は「口座に振り込まれた現金が賄賂だという認識はなかったし、旅費も自分で支払ったと思っていた」と主張し、容疑を全面的に否認している状況です。しかし、国の役職に就きながら特定の企業から多額の資金援助や接待を受けていたとすれば、その社会的責任は極めて重いと言わざるを得ません。政治家には高い倫理観と透明性が求められるべきでしょう。
関係者の話では、中国企業は激しい競争が予想される大都市への参入を避け、2017年から2018年にかけて沖縄県や北海道留寿都村といった地方のIR構想への投資を検討していました。地方での開業のハードルを下げるため、同社は設置区域の枠を広げるよう秋元議員へ強く要望していたとされています。これを受けて秋元議員は、具体的な区域数を盛り込んだ法案を検討中だった内閣官房の担当部署に対し、「法律には細かな数字を書き込まず、融通が利くようにした方が良い」とアドバイスを送ったそうです。
秋元議員は2017年08月から2018年10月までIR担当の内閣府副大臣という要職にあり、政策の検討状況について定期的に報告を受ける立場にありました。つまり、企業の要望を政策に反映させやすい絶好のポジションにいたわけです。なお、実際の区域数を巡っては、4から5カ所を推す自民党と、2から3カ所に絞りたい公明党が2018年03月から協議を重ね、同年04月に「最大3カ所」で決着しました。この内容が明記されたIR実施法は同年07月に成立しており、秋元議員の働きかけがどこまで影響したかは謎が残ります。
特捜部は2020年01月14日に、これまでの捜査を元に秋元議員を収賄罪で起訴したほか、共謀したとされる元政策秘書も在宅起訴に踏み切りました。また、中国企業側のメンバーや、北海道への家族旅行の費用を提供したとして札幌市の観光会社「加森観光」の会長も在宅起訴されています。誘致ビジネスの裏で動いた巨額の資金と、政治家への甘い蜜の実態が少しずつ白日の下にさらされつつあります。IR誘致が日本の経済を潤すという期待の裏で、このような利権争いが平然と行われていたのであれば、制度そのものの見直しが必要になるのではないでしょうか。
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