就職活動の季節が訪れると、街中やキャンパスでリクルートスーツに身を包んだ若者を頻繁に見かけるようになります。毎年繰り返されるこの光景ですが、実は企業側の採用担当者も毎年のように入れ替わっているという事実をご存知でしょうか。採用の部署は未経験者でも担当しやすいと考えられがちで、若い視点を取り入れるために新入社員が配属されるケースも少なくありません。しかし、これではせっかく培った採用のノウハウが社内に蓄積されず、結果として企業の採用力が育たないという悪循環に陥ってしまうのです。
インターネット上のSNSでも、この問題に対する求職者側のリアルな声が数多く飛び交っています。「説明会での人事の態度が横柄で、一気に志望度が下がった」「会社の魅力を全く言語化できていない担当者がいて不安になった」といった、企業の対応に落胆する書き込みが目立ちます。中には「これなら書類選考や面接にAIを導入してくれた方が、偏見がなくてよっぽど信頼できる」という手厳しい意見も見られ、経験の浅い担当者が企業の看板を背負うことへの危機感が浮き彫りになっています。
客観的な相互チェックと仕組み化が成功への鍵
では、この「採用の素人化」を解決するにはどうすれば良いのでしょうか。私は、カリスマ的な個人に頼るのではなく、組織全体で採用力を底上げする仕組み作りこそが最優先課題であると考えます。まず実践すべきは、担当者同士によるプレゼンテーションやイベント運営の相互点検です。社内だけで通じる専門用語を連発していないか、姿勢や言葉遣いが傲慢になっていないかを客観的に評価し合うロールプレイングは、学生を口説き落とすためにも必要不可欠なプロセスです。
さらに、経験を「形式知化」することも重要です。形式知化とは、個人の経験や勘といった目に見えない知識を、マニュアルや文章にして誰もが共有できる状態にすることを指します。具体的には、2020年01月15日の時点における活動内容をベースにした「採用総括リポート」を毎年作成したり、会社説明会の様子を動画で保存したりする手法が効果的です。これにより、新任の担当者への引き継ぎがスムーズになり、過去のトラブルや改善点を組織の財産として受け継ぐことが可能になります。
今後も少子化による採用難は続き、選考時期を限定しない通年採用への移行も予測されます。だからこそ、採用活動を一部の部署だけに任せず、経営陣や現場の声を吸い上げるプロジェクト制を導入し、全社一丸となって取り組むべきです。学生が最初に触れる「会社の顔」である採用担当者を一流に育てる仕組みを作ることこそが、これからの時代を生き抜く企業に求められる真の戦略と言えるでしょう。
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