ウッドチェンジで未来を救う!ルーティヴ加藤麻美さんが挑む「森業」とSDGsの新潮流

金沢市の中心部から車を走らせること約30分、湯涌温泉郷の静かな一角に、今まさに日本の林業へ新しい風を吹き込んでいるスタートアップ企業が存在します。それが、加藤麻美さんが代表を務める「ルーティヴ」です。工房へ一歩足を踏み入れると、色鮮やかな木製の積み木が出迎えてくれます。これは国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」、つまり地球の環境や社会をずっと守り続けるための17の目標を表現したものです。

2016年4月1日の創業以来、この会社は「森とともに生き、人々に癒しを届ける」という温かい理念を掲げてきました。加藤さんが推進するのは、単に木を切り出して出荷するだけの従来のビジネスではありません。森の健やかな循環を何よりも大切にする、独自の「森業(しんぎょう)」というスタイルを提唱しています。地域の木材を積極的に活用し、そこで生まれた利益をしっかりと山やコミュニティへと還元する仕組みづくりを目指しているのです。

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日本の放置林が抱える危機とウッドチェンジの必要性

現在、日本の多くの森林は深刻な課題に直面しています。かつて盛んに行われた「拡大造林」、つまり木材の需要を見込んで人工的にスギなどを植えた山が、安価な海外産の木材に押されて手つかずのまま放置されているのです。森をケアせずに放置すると、成長した高い木の葉が太陽の光を遮ってしまいます。そうなると地面にまで光が届かず、新しい命が育たないため、豊かな自然のサイクルが完全にストップしてしまうでしょう。

石川県能登町で育ち、幼い頃から豊かな里山に囲まれて暮らしてきた加藤さんは、会社員としてボランティア活動に励む中で「綺麗事だけでは山を再生できない」と痛感しました。そこで目をつけたのが、企業の「CSR(企業の社会的責任)」活動です。環境や社会に配慮した経営が強く求められる現代において、オフィス空間の木質化や環境負荷の少ない事務用品への切り替えを提案することは、企業にとっても非常に大きな価値を持ちます。

SNSでも大バズり!能登ヒバの温もりと世界へ羽ばたくバッジ

加藤さんのセンスが光る取り組みは、すでに具体的な形となっています。2019年には金沢彩の庭ホテルのキッズスペースをプロデュースし、耐久性が高くカビにも強い地元の「能登ヒバ」を贅沢に使用した空間を創り上げました。SNS上では「子どもを安心して遊ばせられる」「木の香りに大人も癒される」と、パパやママの間で瞬く間に口コミが拡散しています。本物の木が持つぬくもりは、デジタル時代を生きる人々の心を強く捉えているようです。

さらに、SDGsのアイコンを17色の木製で再現した「ピンバッジ」も大ヒットを記録しています。世間に出回る環境バッジの多くが金属製であることに矛盾を感じた加藤さんが開発したもので、このアイデアには「これこそ本当のサステナブル」「デザインが優しくてお洒落」とネット上でも大絶賛の声が寄せられました。その反響は日本国内に留まらず、今やアメリカやヨーロッパからも注文が舞い込むほどの人気ぶりを見せています。

編集部EYE:消費者が選ぶ「これからの選択」が日本の山を動かす

私たちは普段、安さや利便性だけでモノを選びがちですが、加藤さんの挑戦を見ていると、消費行動の一つひとつが地球の未来に直結しているのだと深く気づかされます。日本の木材自給率が4割を割り込む今、都会で暮らす人々が少しでも「木を使う心地よさ」を思い出すことが、放置された日本の山々を救う第一歩になるはずです。地方の資源をビジネスの力で輝かせるルーティヴの試みは、これからの地方創生の素晴らしいモデルケースと言えるでしょう。

創業からの3年間は地盤を固める日々だったと振り返る加藤さんですが、その視線はすでに遠い未来を見据えています。今後は自ら森を所有して管理し、人々が本を読んだりコーヒーを楽しんだりできる、癒しの空間を森の中に作る計画も進行中とのことです。都会の喧騒で疲れた現代人が、再び自然との繋がりを取り戻すための素敵な架け橋として、この「森業」の取り組みから今後も目が離せません。

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