阪神大震災の道しるべ「三ツ星ベルト」の広告塔が撤去へ!神戸の復興シンボルが残した絆と安全への決断

兵庫県神戸市長田区の街を見守り続けてきた象徴的な灯が、まもなくその姿を消すことになりました。産業用ベルトの大手メーカーである三ツ星ベルト株式会社は、2020年1月15日に本社地区の工場屋上にそびえ立つ巨大な広告塔を、2020年5月末までに解体撤去することを公式に発表したのです。長年、地域のランドマークとして親しまれてきた存在だけに、今回の発表は地元住民のみならず、多くの人々に驚きと一抹の寂しさを与えています。

このニュースが流れると、SNS上では「神戸の景色が変わってしまうのは寂しい」「震災のときに見上げて安心した記憶がある」といった、当時の思い出を懐かしむ声が次々と寄せられました。一方で、近年の異常気象を考慮した企業側の経営判断に対しては、「周囲の安全を最優先にした英断だ」と深く納得する意見も目立ちます。人々の心に深く刻まれた存在だからこそ、これほどまでに大きな反響を呼んでいるのでしょう。

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ボランティアを導いた震災復興のシンボルとしての歩み

この広告塔は、1959年に同社の創立40周年を記念して建てられた歴史ある建造物で、地上からの高さは55メートルにも及びます。特にその名が人々の記憶に刻まれたのは、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災のときでした。甚大な被害を受けた長田区周辺で、全国から駆けつけたボランティアの人々は、この高くそびえ立つ鉄塔を「道しるべ」として被災地へと向かったのです。地理に不慣れな彼らを支えた、まさに復興の象徴でした。

多くの困難を乗り越えてきたシンボルですが、今回は自然災害のリスクという新たな壁に直面することになります。会社側はこれまで万全な耐震補強を施して維持に努めてきましたが、近年の地球温暖化などに伴う台風の大型化や、それに伴う風害(強風や突風によって建物やインフラが破壊される災害のこと)への懸念がにわかに現実味を帯びてきました。周囲の安全を脅かす可能性を考慮した結果、苦渋の決断が下されたのです。

二次災害を防ぐための苦渋の決断と未来へつなぐ無線機能

撤去の決定打となったのは、鉄塔に取り付けられた「三ツ星ベルト」という巨大な文字の看板でした。1文字あたりなんと6メートル四方という圧倒的なスケールを誇るため、万が一にも超大型台風の猛烈な強風によって吹き飛ばされた場合、周辺地域に甚大な二次災害を引き起こしかねません。人命や近隣の安全を守るために、看板を含めた上部を解体する選択は、企業としての社会的責任を果たそうとする誠実な姿勢の表れだと感じます。

注目の解体工事は2020年3月中旬からスタートする予定です。タワー自体の高さは40メートルありますが、すべてを失くしてしまうわけではありません。実はこの鉄塔、神戸市の防災行政無線(災害時に役所と地域を無線で結び、避難情報などを伝える重要な通信システム)の役割も担っています。そのため、市民の安心・安全な暮らしを維持できるように、屋上から約16メートルの土台部分はしっかりと残される計画です。

形を変えてもなお、防災という新しい使命を帯びて街に貢献し続ける広告塔の物語には、深い感銘を覚えざるを得ません。私たちが過去の震災から学んだ教訓は、建物をそのまま残すことだけではなく、未来の災害リスクを未然に防ぐ「減災」の意識にも通じているはずです。神戸の街並みは少し寂しくなりますが、安全を第一に考えた三ツ星ベルトの決断を尊重しつつ、その歴史的功績を拍手で称えたいと思います。

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