私たちの生活や経済の行く末を左右する、非常に重要なキーワードをご存じでしょうか。ニュースなどで耳にする機会も多い「生産年齢人口」ですが、これは私たちが豊かな暮らしを送り、社会保障を維持するために欠かせない存在なのです。
この言葉は、経済協力開発機構(OECD)によると「15歳から64歳までの人口」を指します。いわば、社会の経済活動を現役でバリバリと支える「働き手」のボリュームゾーンです。彼らが活発に働くことで国に活力が生まれ、同時に高齢者層を支える年金や医療などの社会保障基盤がしっかりと維持される仕組みとなっています。
世界に目を向けてみると、国連のデータでは、2020年10月1日時点における地球全体の働き手は約50億8000万人となっています。東南アジアやアフリカなどの新興国を中心に人口拡大が続いているため、今から30年後の2050年には61億3000万人にまで膨らむ見通しです。世界規模で見れば、労働力は今後も右肩上がりで成長していくと言えるでしょう。
しかし、目を日本に向けてみると状況は一変します。日本の現役世代の人口は1990年代半ばをピークに減少が始まっており、隣国の中国でも2010年代半ばから同様の減少トレンドへ突入しました。まさに先進国を中心に、急速な少子高齢化という名のタイムリミットが迫っています。
かつて日本が経験した、戦後の目覚ましい「高度経済成長」の裏には、この豊富な若手・中堅層の労働力が原動力として存在していました。ところが、バブル崩壊と重なるようにして働き手の数がマイナスに転じると、日本経済は長い低迷期から抜け出せなくなってしまったのです。働く人が減ればそれだけ国の経済規模が縮小してしまうため、この問題は決して他人事ではありません。
SNS上でもこの問題に対する関心は非常に高く、「毎月の給料から引かれる社会保険料が高すぎるのは、支え手が足りないからか」「自分が引退したときに年金がもらえるのか本当に不安」といったリアルな悲鳴があふれています。若者世代を中心に、将来への強い危機感が漂っているのが現状です。
だからこそ、私たちは従来の働き方をガラリと変えていく必要があります。私は、これからの日本が活力を保つためには、年齢や性別、国籍の壁を完全に取り払うダイバーシティの推進が不可欠だと確信しています。これまでの「男性中心・新卒一括採用」のような古い価値観にしがみついていては、日本の未来は暗いままになってしまうでしょう。
具体的には、これまで家事や育児でキャリアを断念せざるを得なかった女性たちの活躍の場を広げ、まだまだ元気なシニア層が知識を活かせる社会を構築することが急務です。さらに、海外からの優秀な外国人労働者を温かく迎え入れる体制づくりも同時に進めていかなければなりません。
それと同時に、最先端テクノロジーの導入も素晴らしい特効薬になります。AIやロボット技術を活用した業務の「自動化」により、少ない人数でもこれまでの何倍もの成果を上げることが可能になるはずです。人間が過酷な労働から解放され、より創造的な仕事に集中できる環境を整えることこそが、少子高齢化をチャンスに変える唯一の鍵となるでしょう。
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