日本の株式市場に大きな激震が走っています。東芝機械は2020年1月17日、旧村上ファンド系の投資会社であるオフィスサポートから、同社株に対するTOBの通告を受けたと発表しました。TOBとは「株式公開買い付け」のことで、あらかじめ期間や価格、買い取る株数を公表し、市場外で株主からまとめて株を買い集める手法を指します。今回の事態に対し、東芝機械側は条件次第で対抗措置を発動する構えを見せており、市場の緊張感は一気に高まりました。
オフィスサポートとその共同保有者である野村絢氏、エスグラントコーポレーションは、すでに東芝機械株の11.49%を握る大株主です。彼らは2018年から断続的に株を買い増してきました。今回のTOBは2020年1月21日からの開始が予定されていますが、現時点で具体的な買い付け価格や上限株数は明かされていません。SNS上では「ついに村上系が動いたか」「日本のガバナンスが試される」と、個人投資家を中心に大きな話題を呼んでいます。
東芝機械側は、旧村上側が事前の協議を一切行わずに準備を進めており、買収後の経営方針についても説明がないと強い不快感を示しました。このまま意思疎通がないまま進めば、合意のない「敵対的買収」へと発展するのは避けられない見通しです。東芝機械は防衛策として、既存の株主に対して新株予約権を無償で配る対抗措置の導入を決定しました。これは、買収者の保有比率を引き下げて買収を困難にする、いわゆる「ポイズンピル(毒薬条項)」と呼ばれる手法です。
かつて東芝グループの主力だった東芝機械ですが、東芝がアメリカの原発事業で巨額の損失を出した穴埋めのため、2017年に持ち株の大半を売却した経緯があります。これにより東芝の比率は約20%から約3%まで激減し、後ろ盾となる安定株主を失ってしまいました。旧村上側は、東芝機械が抱える工場や現預金といった潤沢な保有資産の効率化や、経営陣の刷新を狙っているとみられます。資産を眠らせている日本企業への警鐘とも言えるでしょう。
今回の騒動は、単なる一企業の買収劇にとどまらず、日本企業全体の「稼ぐ力」や株主還元に対する姿勢を問い直す象徴的な事件だと私は考えます。企業が自己防衛に走るだけでなく、いかに株主に対して魅力的な経営を示せるかが本質的な解決策になるはずです。対抗措置という盾を構えつつも、東芝機械が今後どのような成長戦略を提示して市場を納得させるのか、その手腕に大きな注目が集まっています。
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