2019年12月27日の東京株式市場において、百貨店大手のJ.フロントリテイリングが目覚ましい躍進を見せました。株価は一時、前日と比較して87円、率にして6%も高い1523円を記録し、年初来の高値を塗り替えています。この急騰の背景には、前日の取引終了後に発表された、上場子会社であるパルコに対するTOB(株式公開買い付け)の実施という、市場を驚かせる大きな決断がありました。
TOBとは、あらかじめ期間や価格、株数を公表し、不特定多数の株主から市場外で株式を買い集める手法のことです。J.フロントリテイリングは、現在約65%保有しているパルコの株式のすべてを買い取る方針で、その総額は約658億円に達する見込みとなっています。このニュースを受けて、投資家の間では今後の収益構造の変化に対する期待が急速に高まり、売買代金も前日の約2倍となる36億円へと大きく膨らみました。
百貨店から総合不動産へ!パルコ主導の新たな挑戦
今回の買収における最大の狙いは、成長の余地が大きい不動産事業の一元化にあります。J.フロントリテイリングの山本良一社長は、パルコが培ってきた優れた開発ノウハウをグループ全体で最大限に活用する意向を示しました。今後は、従来の百貨店モデルの枠を超え、パルコが主導する形での不動産開発が加速するでしょう。これによって、これまで取り込めていなかったパルコの利益分も、すべて親会社の純利益として計上できるようになります。
また、買収資金を借り入れで賄うことにより、自己資本利益率(ROE)の向上が期待できる点も、機関投資家から評価されたポイントです。ROEとは、株主から預かった資本をどれだけ効率よく利益に結びつけたかを示す指標であり、投資の神様とも呼ばれるウォーレン・バッフェル氏も重視しています。百貨店業界が厳しい転換期を迎えるなか、収益の柱を多角化しようとする同社の攻めの姿勢は、非常に理にかなった戦略であると私は考えます。
SNSなどのネット上の反応を見てみると、「ついにパルコが完全子会社化されるのか」「街づくりにパルコのセンスが入るのは楽しみ」といった期待の声が多く寄せられています。一方で、証券アナリストからは「歴史ある百貨店とパルコという異なる企業文化が融合し、果たして期待通りのシナジー(相乗効果)を生み出せるか」という慎重な意見も聞かれます。伝統と革新が混じり合うこの挑戦が、日本の小売業界にどのような新風を吹き込むのか目が離せません。
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