日本の観光業界に、歴史的な快挙とも言える嬉しいニュースが飛び込んできました。日本政府観光局、通称「JNTO」が発表したデータによると、2019年の日本人海外旅行者数の推計値が2008万人に達し、過去最高を更新したことが明らかになりました。これは政府が掲げていた目標を1年先んじて達成したことになります。1964年の海外渡航自由化から数えて55年目にして、ついに大台である2000万人を突破したのです。
前年の2018年は1895万人だったため、そこから5.9%もの高い伸び率を記録しています。この10年間を振り返ってみても約3割の増加となっており、日本人の海外志向が再び熱を帯びている状況がうかがえるでしょう。SNS上でも「ついに2000万人の大台突破か!」「若い世代も気軽に海外へ行くようになったよね」といった喜びや納得の声が数多く寄せられており、世間の関心の高さが証明されています。
旅を身近にしたLCCの台頭と充実した大型連休の恩恵
これほどまでに海外旅行者が増えた背景には、いくつかの大きな要因が存在します。まず挙げられるのが、格安航空会社、いわゆる「LCC(ロー・コスト・キャリア)」の路線数が大幅に拡大したことです。LCCとは、効率的な運営によって大手航空会社よりも低価格で航空券を提供する航空会社を指します。これにより、これまで費用面で海外旅行を躊躇していた層、特に若者やファミリー層が気軽に海を渡れるようになりました。
さらに、日本のパスポートの強みである「ビザ(査証)なし」で訪問可能な国が増加したことも、心理的なハードルを大いに下げています。ビザとは、相手国が事前に入国を許可する査証のことですが、これが不要な国が増えたことで、思い立ったらすぐに旅立てる環境が整いました。加えて、2019年はゴールデンウイークの10連休や年末年始の9連休といった異例の大型連休が続いたことも、旅行需要を爆発させる強い追い風となっています。
双方向の観光交流がもたらす健全な旅行業界の未来
政府が観光立国の推進に力を注ぐ中、インバウンドと呼ばれる訪日外国人客だけでなく、日本からのアウトバウンド、つまり海外旅行客を増やすことも極めて重要な意味を持ちます。日本旅行業協会(JATA)の田川博己会長が「双方向で旅行者を増やすことが、健全な旅行業界の発展に繋がる」と提唱するように、片方だけの盛り上がりでは真の観光立国とは言えません。互いの国を行き来する活発な交流こそが、経済や文化を豊かにするのです。
ちなみに、2019年の訪日外国人客数の推計も過去最高の3188万人を記録しました。そのうち中国人旅行客が全体の3割を占めて市場を牽引する一方で、政治的な対立が影響して韓国からの旅行客が減少するという課題も浮き彫りになっています。特定の国に依存しすぎず、多角的な交流を目指す視点が、これからの日本の観光戦略には求められるのではないでしょうか。
東京五輪の年を迎えた旅行業界が仕掛ける次なる一手
2020年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催される記念すべき年です。一般的に、オリンピックの開催国は自国の海外旅行者数が一時的に減少する傾向にあると言われています。自国での一大イベントに注目が集まるほか、国内の宿泊費や交通費が高騰し、旅行マインドが内向きになりやすいためです。この特有の現象を前に、旅行業界はすでにその先を見据えた動きを加速させています。
単に悲観するのではなく、祭典が終わった後の反動を見据えて、今から魅力的な海外旅行商品の販促に各社が全力を注いでいる状況です。個人的な見解としても、この2000万人突破という勢いを一過性のブームで終わらせてはならないと感じます。五輪を契機に日本全体の観光への意識が高まる今だからこそ、世界へ目を向けるキャンペーンを継続し、日本人の国際感覚をより豊かにしていく絶好のチャンスにすべきです。
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