家族のために奔走する役割を終え、ひとりで迎えるお正月も2020年01月09日時点で6回目となりました。エッセイストの岸本葉子さんは、今年も慣れ親しんだ自宅で穏やかな年始を過ごされたそうです。実は都心のホテルで年越しをすることも真剣に検討されましたが、最終的には見送る決断に至りました。
最近の老舗シティーホテルでは、3世代の家族が一緒に楽しめる魅力的な正月プランが数多く用意されています。子や孫を自宅で迎える体力がなくなってきた高齢の親世代や、海外旅行が難しくなったシニア層を連れていく家族にとって、こうしたサービスの需要は非常に高いと言えるでしょう。
しかし、お正月の都心は多くの飲食店が閉まってしまいます。華やかなホテルのレストランで、賑やかな家族連れに囲まれながらひとりで食事をすることは、シニアを間近に控えた単身者にとって少し居心地が悪く感じられるものです。ルームサービスという選択肢もありますが、わざわざこの時期に泊まらなくても良いという結論に達しました。
SNS上でも「ひとりの年末年始はどこも混んでいて逆に寂しさを感じる」「家族連れのイベント感に圧倒されてしまう気持ちがよく分かる」といった共感の声が多数寄せられています。賑やかなお正月だからこそ、あえて自宅で自分のペースを保ちながら静かに過ごす選択は、現代において非常に賢明だと感じます。
一方で、お正月以外の通常期に都心のホテルへ宿泊することへの意欲は、むしろ大きく高まっているそうです。2019年の冬に幸運にもホテルの宿泊券を手に入れた岸本さんは、当初は仕事の延長のように感じられて休まらないのではないかと躊躇されていました。しかし、出張や家事に追われる日々の中で、都心の一泊こそが最高のリフレッシュになると気づいたのです。
普段は打ち合わせなどで頻繁に出入りしている見慣れたロビーでも、宿泊客として訪れる時間は全く異なる特別なものへと変化しました。仕事中にカバンを提げて急ぎ足で歩いたり、洗面所の鏡の前でため息をついたりする日常の喧騒から、完全に解き放たれる極上の体験がそこには待っています。
落ち着いた木の温もりに包まれた客室は心地よく、何よりも「家事を一切しなくていい」という解放感が、素晴らしい気分転換をもたらしてくれます。スタッフの洗練されたおもてなしに触れ、丁寧に温かく扱われることが、いかに大人の心を深く癒やしてくれるかを実感させられます。
客室の窓から見下ろす皇居の深い森や、静かに水をたたえるお堀の景色は、ここが日本の首都であることを強く印象付けます。15時を過ぎて夕暮れが近づく午後16時には、雨模様の空の下を走る車のテールランプが美しく潤み、地方から上京して40年近く経つ中で、初めて自分の街を愛おしく眺める特別な時間となりました。
岸本さんは帰宅後、すぐにホテルの会員手続きをしようとしたものの、日々のメール処理に追われてまだ完了していないそうです。日常を豊かにする「大人のご褒美時間」を2020年のどこかで実現したいと願う彼女の姿には、忙しい現代を生きる誰もが自分を労わる大切さを教えられるでしょう。
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