引きこもり支援の最前線!「アウトリーチ」で孤立する家庭に手を差し伸べる厚労省の新方針

現代社会が抱える深刻な課題である「引きこもり」。内閣府が2018年に実施した調査によれば、40歳から64歳の中高年層における引きこもり状態の人は、全国で推計61万3000人に上ることが判明しました。この数字は決して無視できるものではありません。さらに、80代の親が50代の子供を養うことで、親子ともに経済的・精神的に追い詰められる「8050問題(はちまるごーまるもんだい)」も、日本各地で深刻な影を落としているのが現状です。

こうした状況に対して、インターネット上でも非常に多くの意見が飛び交っています。SNSでは「誰もが当事者になり得る問題」「周囲に知られたくなくて相談できない気持ちも痛いほど分かる」といった、共感や切実な声が数多く上がっている模様です。中には「家族だけで抱え込むのには限界があるため、公的な支援がもっと身近になってほしい」という、切実な悲鳴に近い要望も寄せられており、社会全体でこの問題に向き合う必要性がこれまで以上に叫ばれています。

このような事態を重く見た厚生労働省は、引きこもり問題を抱える家庭を救うためのドラスティックな新方針を打ち出しました。なんと、全国の自治体に専門の職員を約450人配置し、相談をためらっている家庭へ直接足を運ぶ戸別訪問支援を開始するというのです。これまでは公的な相談窓口で「待つ」姿勢が一般的でしたが、これからは専門家が自ら地域に出向くアプローチへと大きく舵を切ることになります。

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待つ支援から出向く支援へ!注目されるアウトリーチとは

今回、厚労省が本格的に導入を進めるのが「アウトリーチ」と呼ばれる支援手法です。これは英語の「reach out(手を差し伸べる)」に由来する福祉用語で、行政や支援機関が相談を待つのではなく、課題を抱えた当事者のもとへ自ら出向いて働きかける能動的なサポートを指します。引きこもり状態にある当事者やそのご家族は、社会からの孤立感や不安から、自ら助けを求める声を上げることが極めて難しい傾向にあります。

実際に内閣府が行った意識調査でも、引きこもり状態にある人の53.2%が「関係機関に相談したいと思わない」と回答していることが明らかになりました。その理由として「相談しても解決しない気がする」「何を尋ねられるのか不安」「うまく自分の状況を話せない」といった、根深い不信感や不安が挙げられています。だからこそ、専門家が家庭に寄り添い、信頼関係を築くアウトリーチ支援が、今まさに求められていると言えるでしょう。

この新たな取り組みを財政面から強力にバックアップするため、厚労省は2020年度の予算案に32億円という巨額の費用を計上しました。「アウトリーチ支援員」の配置を希望する自治体に対して、国が人件費を助成する仕組みです。この支援員を常勤として配置した場合、生活に困窮している人々の相談を受け付ける全国約900カ所の「自立相談支援機関」のうち、およそ半数に1人ずつ専門家を配備できる計算になります。

悲劇を繰り返さないために!地域社会全体で紡ぐセーフティネット

行政がここまで危機感を強める背景には、2019年6月に発生した元農林水産事務次官による長男刺殺事件があります。当時44歳だった長男の引きこもり問題について、元次官や妻は外部の機関に一切相談をしていませんでした。裁判の中で元次官は「相談すればかえって親子関係が悪化すると思った」と心中を吐露しています。周囲に SOS を発信できないまま孤立を深め、最終的に最悪の結末を迎えてしまった悲劇と言わざるを得ません。

筆者は、この事件こそが現在の引きこもり支援の限界と、家族だけで問題を抱え込むことの危険性を痛烈に示していると考えます。「世間体が悪い」「家族の恥だ」という古い価値観や、周囲からの偏見を恐れるあまり、誰にも頼れなくなる孤立のループを断ち切らなければなりません。そのためには、行政側からアプローチするアウトリーチが不可欠であり、今回の厚労省の予算措置と人員配置は、まさに時代が求めていた英断であると強く支持します。

もちろん、戸別訪問による支援は決して容易な仕事ではありません。厚労省の担当者も「本人や家族との関係構築は非常に難しく、手紙などを活用しながら粘り強く接触を試みる必要がある」と語っています。そのため、現場には経験豊かな社会福祉士などの国家資格保持者を登用する方針です。社会福祉士とは、日常生活を営むのが困難な人々の相談に応じ、福祉サービスや地域社会との橋渡しを行う専門職のことで、まさに適任と言えます。

さらにこの事業では、民間や家族会とも密に連携し、ゴミ屋敷のようになっている家や、頻繁に激しい争い声が聞こえる家庭など、地域住民の目から見て危険信号が出ている世帯も対象にするとのことです。引きこもりを「個人の問題」や「家庭の責任」として片付ける時代はもう終わりました。地域全体がアンテナを張り、行政が温かく手を差し伸べることで、一人でも多くの人が再び社会とのつながりを取り戻せる未来を期待したいものです。

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