サウジアラムコ上場1ヶ月で時価総額2兆ドル割れ!サウジ経済改革の行方と迫る試練

サウジアラビアの国営石油会社であるサウジアラムコが、2019年12月11日に国内の証券取引所へ新規上場を果たしてから1ヶ月が経過いたしました。世界最大級の新規株式公開(IPO)として大きな注目を集めたものの、足元の時価総額はムハンマド皇太子が目標として掲げていた「2兆ドル」を早くも下回る事態を迎えています。中東情勢の緊張緩和が見えない中、この巨大企業の株価は軟調な推移をたどっており、今後の動向から目が離せません。

SNS上では「サウジの経済改革は本当に大丈夫なのか」「2兆ドルという数字自体が過大評価だったのではないか」といった、将来を不安視する声が相次いでいます。今回のIPOは、株式を初めて一般に売り出して市場に流通させる「新規株式公開」という一大イベントでした。サウジ政府は優遇金利での貸し出しやボーナス株の付与など、あらゆる政策を総動員して株価の維持に努めましたが、市場の冷徹な評価を完全にコントロールすることは難しかったようです。

上場直後の2日間こそ時価総額2兆ドルを突破したものの、2019年12月下旬からは1.9兆ドルを下回る水準へ後退してしまいました。2020年1月9日の終値は35リヤルとなり、最高値から約8%も下落しています。興味深いことに、イラン情勢の悪化に伴って原油価格が上昇する中で、欧米の石油メジャー企業の株価は堅調に推移したのに対し、サウジアラムコ株だけが逆行して値を下げるという奇妙な現象が発生したのです。

この現象について専門家は、市場が同社を単なる石油会社ではなく、特殊なリスクを抱えた存在として見ているからだと分析しています。原油高による利益の増加というメリットよりも、中東特有の政治的・軍事的な緊張がもたらす「地政学リスク」を投資家が深刻に捉えた結果と言えるでしょう。2019年9月24日にはドローンなどによる石油施設への攻撃で生産が大打撃を受けており、防衛面の脆さが露呈したことも不信感に拍車をかけています。

筆者の視点としては、今回の失速はサウジの「脱石油」を目指す構造改革そのものの難しさを物語っていると感じます。株価が低迷を続ければ海外市場への上場計画は凍結せざるを得ず、改革の原資となる資金調達の道が閉ざされかねません。地政学リスクが意識されるほど、消費国は中東依存を避けて再生可能エネルギーなどへの転換を急ぐはずです。サウジアラビアは今、自国の実力と真摯に向き合うべき重要な転換点に立たされていると言えます。

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