生活水準が向上する中国で、食品の安全や衛生管理への関心が急速に高まっています。そんな中、日本の家電大手パナソニックが、中国の冷蔵・冷凍設備市場で攻勢をかけていることをご存じでしょうか。インターネットにあらゆるモノを接続する「IoT」技術や、スマートフォンの決済システムを融合させた最先端の設備を次々と投入し、巨大市場のシェア獲得を狙っています。SNS上でも「日本の省エネ技術と現地のネット文化の融合が面白い」「中国の流通を変えそうだ」と、その先進的な取り組みが大きな話題を呼んでいるのです。
同社が中国の冷蔵事業において中核を構えるのが、東北部に位置する遼寧省大連市です。現地の工場へ足を運ぶと、そこには巨大なスクリーンが設置されています。これは2019年に提供を開始したばかりの「24時間監視システム」で、同年12月末時点で導入数は約80件に上りました。この仕組みは、顧客に納品した冷蔵庫の運転状態をリアルタイムで把握できる優れものです。正常なら緑、異常があれば赤で画面に表示されるほか、照明の消し忘れも検知してスタッフが素早く節電の助言を行います。
実際にこのシステムを導入した武漢市のスケートリンクでは、消費エネルギーを約50%も削減することに成功しました。さらに、大連市のショールームにはユニークな新製品が並んでいます。その一つが、生鮮食品を保管できるロッカー型の冷蔵庫です。IT大手のアリババ集団が展開するスーパーなどへ既に納入されており、利用者はスマホで手軽に決済をして扉を開閉します。今後はマンションの宅配ボックスとしての活用も期待されており、利便性の高さからネット上でも「買い物難民を救う技術」と注目されています。
また、富士電機とタッグを組んで開発した「スマート自動販売機」は、サンドイッチなど多様な形状の商品を販売可能です。パナソニックは1994年の進出以来、現地の店舗向け設備で4割以上の首位シェアを誇ります。「開発から製造、保守までを一貫して手掛け、省エネの根幹である冷媒技術の高さが強みです」と、現地の経営幹部は胸を張ります。利便性と高い環境性能を両立した日本品質の製品は、スマート社会へと突き進む中国市場のニーズに見事に合致していると言えるでしょう。
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北京五輪の舞台裏でも活躍!急成長する巨大な冷凍流通市場に勝機あり
同社の現地法人である松下冷錬は、2020年3月期の売上高として230億円を見込んでおり、スマホ決済対応の商品でさらなる飛躍を目指します。さらに、2016年に設立した松下冷機系統も同100億円の売り上げを予測しており、物流倉庫やスポーツ施設といった新領域を開拓中です。なんと、2022年に開催を控える北京冬季オリンピックのカーリング会場向け製氷システムを受注したほか、自動車メーカーと共同で冷蔵トラックの開発も進めています。まさに、中国のインフラの土台を支える存在になりつつあります。
中国における食品の冷蔵・冷凍流通(コールドチェーン)市場は、2017年の約2306億元から2020年には3512億元、2023年には5493億元へと爆発的に拡大する見通しです。スマホや家電では地元の中国企業が圧倒的な強さを見せつけましたが、この冷蔵流通の分野は専用車両の発達が遅れており、食品が傷みやすいという課題を抱えています。つまり、市場を圧倒する強力な現地企業がまだ存在しない「未成熟なブルーオーシャン」なのです。ここに、パナソニックが莫大な投資を続ける最大の理由があります。
パナソニックは2020年3月期の冷蔵事業における中国売上高を310億円と見込んでおり、これを2025年には2倍に、2030年には1000億円の大台に乗せるという壮大な計画を掲げています。2019年4月には現地に「中国・北東アジア社」という社内カンパニーを新設し、意思決定のスピードを加速させています。スマホ決済やIoTといった最先端トレンドを泥臭く、かつ迅速に取り入れる姿勢こそが、外資系企業が中国本土で勝ち残るための唯一の正攻法であり、同社の本気度がひしひしと伝わってきます。
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