日本の造船業に試練の波?2019年の輸出船契約が3年ぶり減少へ、中韓勢との激しい受注競争と環境規制の行方

日本のものづくりを支える造船業界に、いま大きな転換期が訪れています。日本船舶輸出組合が発表したデータによると、2019年の輸出船契約実績、いわゆる海外からの受注量が前年と比べて15%も減少したことが分かりました。最終的な数字は914万総トンに留まり、実に3年ぶりのマイナスを記録しています。SNS上でも「日本の造船技術は世界一なのに悔しい」「中韓の勢いに負けないでほしい」といった、現状を憂う声や国内企業へのエールが多数寄せられており、注目が集まっているようです。

2019年1月1日から2019年12月31日までの期間で受注された船は、合計で191隻という結果になりました。具体的な内訳を見てみると、梱包せずに大量の荷物をそのまま積み込める「ばら積み船」が158隻と大半を占めています。これに加えて貨物船が15隻、油などを運ぶタンカーが18隻でした。しかし、クリーンエネルギーとして世界的に注目度が高まっている液化天然ガス(LNG)を運ぶための「LNG運搬船」に関しては、残念ながら4年連続で受注がゼロという厳しい状況が続いています。

各造船会社が抱えている、いわゆるバックオーダーを指す「手持ち工事量」は、2019年12月末の時点で1979万総トンとなりました。目安となる2000万総トンの大台を2カ月連続で割り込んでおり、現場の危機感は強まるばかりです。仮にこのままのペースが2020年3月まで継続してしまった場合、年度末の段階で2000万総トンを下回ることになります。これは1999年度以来、じつに20年ぶりの異例の事態であり、業界全体が大きな瀬戸際に立たされている証拠と言えるでしょう。

なぜ、これほどまでに苦戦を強いられているのでしょうか。その背景には、中国や韓国のライバル企業による大規模な再編や、驚異的な安値攻勢があります。日本の造船会社は、アフリカなどで進む巨大なLNGプロジェクトに関連した、数千億円規模とも言われる大型契約を取り逃がしている模様です。技術力では決して引けを取らない日本ですが、国を挙げた手厚い支援を背景に低価格を武器にする中韓勢との受注合戦において、非常に厳しい戦いを強いられているのが現状です。

さらに、期待されていた環境規制の追い風も、想定ほどの効果を発揮していません。2020年1月から始まった、環境破壊につながる硫黄酸化物の排出を抑える「SOx規制」の強化は、本来なら新型船への買い替え需要を促すはずでした。ですが、多くの船主はコストを抑えるため、規制に適合した低硫黄燃料への切り替えや、既存の船に排ガスを綺麗にする後付け装置を設置する対応を選んでいます。その結果、新造船への注文は思ったように伸び悩む形となりました。

今回の結果を受けて、私は日本の造船業が単なる価格競争から脱却し、次なるステージへ進むべきだと強く感じています。中韓勢の安値に対抗するだけでなく、日本が得意とする高い安全性や省エネ性能など、付加価値の高さで勝負することが不可欠ではないでしょうか。政府と民間が一体となり、次世代の環境対応船の開発を急ぐことで、世界をリードする日本の造船の誇りを取り戻してほしいと願います。反撃の狼煙を上げるためのイノベーションに、大いに期待したいところです。

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