映画のスクリーンを通じて世界を旅する感覚は、何物にも代えがたい贅沢な時間ですよね。今回は、独特の文化を持つスコットランドを舞台にした名作映画の魅力に迫ります。ネット上でも「観ると現地に行きたくなる」「ウイスキーを片手に鑑賞したい」と大きな反響を呼んでいる珠玉の作品ばかりです。
筆者をケルトの世界へ誘うきっかけとなったのは、約30年前に出合ったスコッチウイスキーでした。現地の蒸留所を訪れた際に目にした息をのむような美しい景観は、今も心に深く刻まれています。そんなウイスキーが物語の重要な鍵を握るのが、2012年に公開されたケン・ローチ監督の映画『天使の分け前』です。
この作品は、グラスゴーの街で将来が見えずにいた青年が、シングルモルトウイスキーの奥深い世界に魅了され、自らの人生を切り開いていく姿をコミカルに描いています。まさに「生命の水」という語源を持つウイスキーだからこそ起こせた奇跡の物語であり、実際の蒸留所で撮影された美しい映像は見応え十分です。
また、スコットランドを語る上で外せないのが、謎の怪獣伝説で知られるネス湖でしょう。映画『シャーロック・ホームズの冒険』(1970年)や『ウォーター・ホース』(2007年)など、スクリーンの中でユニークな姿を見せるネッシーは、私たちの想像力をいつでも大いにかき立ててくれます。
映画『ブレイブハート』が描く祖国独立への熱き闘い
ネス湖から南へ進んだ場所にある歴史ある街スターリングには、13世紀から14世紀にかけてイングランドの支配に立ち向かった英雄ウィリアム・ウォレスを称える巨塔がそびえ立ちます。メル・ギブソン氏が監督・主演を務めた1995年の大作『ブレイブハート』は、まさにこの騎士の壮絶な生き様を描いた名作です。
作中での凄まじい肉弾戦や、兵士たちが体を青く染めて雄叫びを上げるシーンは、先住民であるピクト人の風習を再現したもので圧倒的な迫力があります。裏切りによって捕らえられ、最期まで「自由」を叫び続けた彼の不屈の魂は、現代を生きる私たちの胸にも熱く響くこと間違いありません。
国の名誉よりも自らの信仰と信念を貫き通す、そんなスコットランド人の気質を鮮烈に描いたスポーツ映画の金字塔が『炎のランナー』(1981年)です。1924年のパリ五輪に出場した実在のランナーであり牧師のエリック・リデルの半生を描き、美しい砂浜を駆け抜けるスローモーション映像が絶賛されました。
リデルは金メダル確実とされた100メートル走の予選がキリスト教の安息日である日曜日だと知り、周囲の説得を拒んで棄権します。その強固な意志の力には感服するばかりですが、その後に別種目の400メートル走で世界新記録を打ち立てて金メダルを獲得するというドラマのような史実には、ただただ脱帽です。
編集部としては、大都会の喧騒に疲れた現代人にこそ『ローカル・ヒーロー/夢に生きた男』(1983年)をおすすめします。アメリカのビジネスマンが素朴な海辺の村の人々と触れ合い、本物の生き方を見つける物語です。スコットランドの美酒と映画に身を委ね、至福の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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