森田剛×吉岡里帆で描く現代版ファウスト!舞台『FORTUNE』が魅せる不穏で美しい孤独の衝撃

欲望のために悪魔へ魂を売った男の運命を描く、古典名作『ファウスト』。この伝説をベースに、英国の人気劇作家サイモン・スティーヴンス氏が手がけた新作舞台『FORTUNE(フォーチュン)』が、今まさに大きな話題を呼んでいます。設定を現代のイギリスに置き換え、成功を収めた映画監督の破滅への軌跡を追う本作。ネット上では「息をのむ緊迫感」「森田剛さんの演技がリアルで引き込まれる」といった声が溢れ、観客の心を早くも鷲掴みにしているようです。

物語の主人公は、森田剛さん演じる40代の映画監督フォーチュンです。人生の岐路とも言えるこの年代は、成功の裏で誰もが行き詰まりや焦燥感を抱きやすい時期でしょう。彼は吉岡里帆さん演じる美しい映画プロデューサーに心を奪われますが、既婚者である彼女に拒絶されてしまいます。この恋の挫折が、彼の運命を大きく狂わせる引き金となるのです。傷心の彼に近づくのが、田畑智子さん演じる謎の女性ルーシーでした。

フォーチュンは誘惑に負け、彼女と「ある契約」を結んでしまいます。すると、まるで呪いのように吉岡さんの夫が事故で急逝し、彼の願いは次々と現実のものになっていくのです。ここで注目したいのが、スマートフォンのような携帯端末を使って契約を交わす現代的な演出です。本来ならおぞましいはずの悪魔の契約が、指先ひとつの軽さで行われる描写には、利便性と引き換えに大切なものを失っていく現代社会への皮肉が込められているように感じます。

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異質な空間が際立たせる圧倒的な孤独感

舞台セットの美しさと不気味さの融合も見どころです。美術担当のポール・ウィルス氏が創り上げたのは、床と三方の壁を木板で囲み、奥に巨大な引き戸を配した独特の空間です。広大な舞台に対して出演者たちが驚くほど小さく見え、人間同士の距離感にも奇妙な違和感が漂います。壁に投影される不穏な影は、主人公の心の闇を具現化しているかのようです。この計算された違和感こそが、観客の不安を煽る素晴らしいエッセンスとなっています。

実力派キャストの競演も見逃せません。堕天使ルシファーを彷彿とさせる田畑さんは妖艶な魅力を放ち、翻弄される森田さんは魂の叫びを体当たりで熱演しています。また、母親役の根岸季衣さんが見せる力強い存在感と、父親役の鶴見辰吾さんが漂わせる虚無感のコントラストが見事です。さらに、小野寺修二さんが演出する群衆の鮮やかな身体表現「フィジカルシアター」が、物語の混沌とした世界観をより一層深めています。

演出を務めるのは、イギリスの気鋭ショーン・ホームズ氏。広田敦郎氏の翻訳により、海外演劇の鋭さはそのままに、日本の観客の心に突き刺さる傑作へと昇華されました。華やかな芸能界の裏に潜む人間の業と、救いのない孤独を圧倒的なスケールで描き出す本作。2020年2月2日まで東京芸術劇場プレイハウスにて上演中の、人間の本質を鋭く突くこの衝撃作を、ぜひ劇場という濃密な空間で目撃してみてください。

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